MINATAと学ぶオートメーション #07:テスターで電圧を測る:誤測定を防ぐ5つの手順
MINATAと学ぶオートメーション #07:テスターで電圧を測る — 誤測定を防ぐ5つの手順
デジタルマルチメータ(DMM)は、使う人が選んだつなぎ方の結果を表示するだけである。テストリードが違う端子に挿さっていること、レンジが合っていないこと、測ろうとしている点が計器の耐えられる範囲を超えた盤の中にあることを、計器は知らない。だから「数値を読める」だけでは足りない。良い測定は、何を測るのか、どの二点で測るのか、どのような安全条件で測るのかの三つに同時に答える。
本稿は測定の準備と読み方を扱う。電気安全教育、リスクアセスメント、事業所の手順に代わるものではない。充電部またはその近傍での測定は、必要な能力を持つ人だけが行う。

1. つまみではなく、技術的な問いから始める
「機械が動かない」は、まだ測定の問いではない。現象を、検証できる仮説に変える。
- 24 VDCはPLC入力まで届いているか。
- 保護接点は開いていないか。
- ワークが通過したとき、センサは正しい信号を出しているか。
- 電源を切り離した状態で、電線は断線していないか。
問いごとに、測る量もつなぎ方も変わる。電圧は二点間で測る。電流は計器を電流の経路に入れるか、適切なクランプを使う。抵抗と導通は、回路を切り離し、無電圧を確認したあとでのみ測る。導通機能を安全確認の道具として使ってはならない。
| 答えるべき問い | 適した測定量 | 重要な条件 |
|---|
| 電源は負荷まで届いているか | 交流または直流電圧 | 基準点と、予想される電圧値を先に決める |
| 電線はつながっているか | 抵抗・導通 | 電源を切り離し、残留エネルギーを処理する |
| この分岐は何アンペア流れているか | 電流、またはクランプメータ | 方法、端子、レンジ、電流の種類を合わせる |
| 信号は正しく切り替わっているか | 周波数・電圧、必要ならオシロスコープ | DMMは平均値を示し、短いパルスを取りこぼすことがある |

2. 計器、テストリード、測定カテゴリを確認する
盤を開ける前に、計器の外装、表示、電池、入力保護ヒューズ、テストリードの絶縁を確認する。先端のひび、露出した金属部分の長すぎるもの、被覆の内側で切れた導体は、いずれも測定値を不安定にし、短絡の危険を高める。Flukeは、使用前にテストリードの状態と定格を確認するよう求めている。リードと計器は、測定する環境に見合ったものでなければならない。
測定カテゴリCAT I〜CAT IVは、単なる最大電圧ではない。電気設備のどの位置で、どれだけの過渡過電圧に耐えられるかを表す。配電盤、負荷分岐、電子回路では過渡現象の環境が違う。測定する位置に見合う、あるいはそれ以上の電圧定格とカテゴリを持つ計器を使い、製造者の指示と事業所の規定に従う。
見落としやすい三つの確認:
- 黒リードはCOM端子、赤リードはV/ΩまたはA/mAの正しい端子に挿す。
- つまみは測定量と、交流・直流の別が正しいか。
- 予想値に対してレンジが十分か。値が分からないときは、計器の説明に従って上のレンジから始める。
とくに危険なのが、電流端子にリードを挿したままにすることである。A/mA端子に挿したまま二点間の電圧を測ると、ヒューズを通る経路がほぼ短絡になる。電流測定のあとは、事業所の手順に従って、通常の電圧測定の状態にリードを戻す。
3. まず切り離す。活線で測るには理由が要る
OSHA 1910.333は、作業者が接触しうる充電部について、電源を切ってから作業することを求めている。ただし、電源を切ることでかえって大きな危険が生じる場合、または設計上・運転上それが実行不可能な場合は例外とされる。測定は、回路が生きていなければできない作業のひとつになりうるが、それは誰にとっても日常的な作業だという意味ではない。
活線で測らざるを得ない場合、能力を持つ人が、危険の程度に見合った作業方法、保護具、絶縁工具、接近限界を用いる。露出している時間は最小にする。図面を読み、測定点をあらかじめ決め、計器を準備し、妥当な値の範囲を先に把握しておく。
抵抗、ダイオード、導通の測定では、必ず電源を切り離し、無電圧を確認してから測る。コンデンサ、DCリンク、回生する駆動系、別回路からの逆送電は、主開閉器を切ったあとも電圧を保持しうる。
4. 計器が生きていることを示す:活線 — 無電圧 — 活線
無電圧を確認することが目的のとき、「0 V」という表示は、回路が安全であることを意味するかもしれないし、リードの断線、ヒューズや計器の故障、端子やモードの誤りを意味するかもしれない。活線 — 無電圧 — 活線(live-dead-live)の手順は、この死角をなくす。
- 電圧があると分かっている、適切な電源で計器を確認する。
- 切り離した設備の、確認すべき点で測定する。
- 同じ既知の電源で、もう一度計器を確認する。
Flukeは、この手順を無電圧確認の重要な一部として説明している。OSHAも、接触することになる部分が無電圧であることを、能力を持つ人が試験器で確認するよう求めている。公称600 Vを超える回路については、その確認の直前と直後に試験器の動作を確認することが明記されている。
測定中は、プローブのつばより手前に指を置き、先端が二つの端子の間で滑らないようにし、リードを回路につないだまま端子を差し替えない。数値だけでなく条件も記録する。「バルブにON指令が出ている状態で、+24Vと0Vの間で23.8 VDC」は、「23.8 V」よりも診断に役立つ。

5. 感覚ではなく、回路に照らして読む
もっともらしい数値でも、基準点を間違えれば誤った結論に至る。PLC出力は無負荷では24 V近くを示しながら、バルブのコイルをつないだ途端に大きく下がることがある。切り離した電線に誘導電圧が現れることもある。速いパルスはDMMで平均化されて見えなくなることもある。
結果は三つの証拠と突き合わせる。
- 電気図面と機器の銘板・表示。
- 測定した瞬間の指令と応答の状態。
- 電源に近い点、または正常に動作している同等の回路での対照測定。
事例:24 VDCのバルブが動作しない
PLCは出力ONと表示しているが、バルブが動かない。筋の通った確認の順序は次のようになる。
- まず機械・空圧の条件と安全手順を確認する。
- 図面から、コイルの二つの端子と予想値を特定する。
- 一本の電線と盤の枠との間ではなく、指令が出ている状態で負荷の両端の電圧を測る。
- 電圧が正しいのにバルブが動かないなら、切り離した状態でコイルと端子を確認する。
- 電圧が来ていないなら、図面に沿って端子台、保護接点、出力へとさかのぼる。
こうすれば、「制御の不具合」「配線の不具合」「機構の不具合」を、推測での部品交換ではなく証拠で切り分けられる。
測定を終える前のチェックリスト
- 手順どおりに、リードを正しい端子と安全なモードへ戻した。
- 無電圧確認に使った測定なら、計器をもう一度確認した。
- カバー、隔壁、防護をもとに戻し、設備を許可された状態へ戻した。
- 測定値と、その測定条件を記録した。
公開参考資料
- OSHA 29 CFR 1910.333 — 作業方法の選定と使用。
- Fluke — テストリードの状態と、無電圧確認(live-dead-live)に関する手引き。
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