MINATAと学ぶオートメーション #17:近接センサー — 誘導形と静電容量形
近接センサー:誘導形と静電容量形
空気圧シリンダがワークを位置へ押し出し、PLCは「ワーク到着」信号を待ってから次工程を許可する。据付者はワークを捉えるため誘導形の近接センサーを取り付ける——だがワークはプラスチックだ。センサーは決して動作せず、機械は一工程で永遠に待ち続ける。何も壊れていない:誘導形は金属しか捉えず、プラスチックのワークはそれに見えない。
近接センサーは「光の要らない目」である:光電センサーのような直線に整列した光ビームなしに、非接触で近くの物を検出する。密閉・堅牢で粉塵油に強く、機械でもっとも一般的な位置センサーだ。しかし原理の異なる二つの系統——誘導形と静電容量形——があり、系統を選び違えると上例のように機械が止まる。
本記事では、二種類の原理、検出できる物と距離の違い、検出領域のパラメータ、フラッシュ/ノンフラッシュ取付、専用の派生形、NPN/PNPの電気面、そして適切な用途への選び方を説明する。ほぼすべての機構で出会うセンサーなので、しっかり押さえると後の故障探しの時間を大いに節約できる。
本記事は選定と使用の原則を述べる。検出距離、材質による補正係数、保護等級は実際のセンサーカタログと取付条件に従うこと。
誘導形(inductive)
内部にはセンサー面で高周波の電磁界を作るコイルがある。金属の物が近づくと、金属内に生じる渦電流がエネルギーを吸収し、発振振幅が低下する。内部回路がこの低下を検出し、出力を動作させる。
- 金属のみ検出——これが決定的な特徴だ。プラスチック、木、水、ガラスはすべて「見えない」。
- 非常に堅牢で密閉: 可動部がなく、面は通常硬質プラスチックで、粉塵・油・振動に強い。だから金属機構・カム・軸の位置検出を席巻する。
- 検出距離はヘッド寸法(大きいヘッドほど遠くまで届く)と金属種に依存する:軟鋼が最も遠く、アルミ・銅・ステンレスは近くなる——カタログの補正係数を掛ける必要がある。

静電容量形(capacitive)
センサー面はコンデンサの一方の極板として働く。(空気と異なる誘電率を持つ)どんな物が近づいても、静電容量が変化し、回路が検出して動作する。
- ほぼあらゆる材質を検出: 金属、プラスチック、木、紙、粒体、そして液体まで——だからタンク/サイロのレベル検出によく使う(薄い非金属の壁越しの検出を含む)。
- 環境に敏感: 湿気、粉塵の付着、材質変化が影響しうる。通常、捉えたい物に合わせ背景を無視するための感度調整つまみを持つ。
- 同寸法の誘導形より距離が短く、より慎重な調整が要る。
要するに:非金属(プラスチック、水、粒体)を捉える、またはレベル検出 → 静電容量形。金属を捉える → 誘導形(それには堅牢で安定)。
静電容量形をレベル検出に使うときの注意:あらゆる物に敏感なため、センサー面に付いた粉塵や残留した材質の膜が、タンクが空でも「まだ物あり」と読まれることがある。長期のレベル用途では、付着補償のある形か堆積を避ける取付を選び、定期点検する。誘導形は金属にしか反応しないためこの問題がないので、金属タンク/トレイには別の方策も検討する価値がある。
物と仕事による種類の選択
| なすべき仕事 | 選択 |
|---|
| 金属機構/軸/カムの位置検出 | 誘導形 |
| 非金属ワーク(プラスチック、木、紙)の計数/検出 | 静電容量形 |
| タンク内の液体/粒体のレベル | 静電容量形 |
| 粉塵油の多い環境、堅牢さが要る | 誘導形(物が金属なら) |
| 薄い非金属タンク壁越しの検出 | 静電容量形 |
原則:物が金属で誘導形を使えるなら、堅牢で環境に乱されにくいのでそれを優先する。非金属を捉えるかレベルを測る本当の必要があるときにだけ静電容量形を使う。
フラッシュとノンフラッシュ取付
見落とされがちだが頻繁に故障の原因となる取付の詳細:
- フラッシュ(埋込可)形: 側面に磁気シールドがあり、周囲の金属面と面一に埋め込んでも妨害を受けない。代わりに検出距離が短い。
- ノンフラッシュ形: 界磁が側面にも放射され距離が長いが、ヘッド周囲に金属のない隙間を空ける必要がある——金属板に埋め込むと、その板自体が「検出」されセンサーが連続動作する。
ノンフラッシュ形を金属ブラケットに埋め込むのは、センサーが「常に物ありと報告」する古典的な誤りだ。取付距離と近接する二センサー間の間隔について資料をよく読み、互いの干渉を避ける。
検出領域・ヒステリシス・再現性
三つのパラメータが、センサーがどれだけ正確に「物あり」を報告するかを決める:
- 定格検出距離(Sn): カタログの数値で、理想条件下で標準ターゲット(標準寸法の鋼)で測る。標準と異なる物やより小さい物では、実距離は短くなる。だから物は境界ぎりぎりでなく、安全な距離(通常Snの約80%)に置く。
- ヒステリシス: 「捉える」距離と「離す」距離がわずかに異なる——物はある水準まで近づいて動作し、その水準より遠くへ離れて復帰する。このヒステリシスは有用だ:物が境界にちょうど留まるとき、センサーが0-1-0とばたつくのを防ぐ。しかし精密に位置決めするときは考慮が要る。
- 再現性(repeatability): 多数のサイクルで同じ点に正確に動作する能力。位置決め用途では、絶対距離の数値より再現性が重要だ。
この三つを理解すると、物を検出範囲の縁に置いたり、振動で距離がしきい値付近を揺れたりして起こる「ときどき報告し、ときどきしない」という不具合を避けられる。
専用の派生形
通常形のほか、誘導形と静電容量形には難環境向けの多くの派生形がある:
- ファクター1: あらゆる金属を同じ距離で捉える特別な誘導形(鋼・アルミ・ステンレスが同じ)で、補正係数が要らない——物が複数種の金属でありうるとき便利。
- 溶接界磁耐性(weld-field immune): 溶接機の近くで使い、大きな溶接電流の妨害に耐える。筐体は火花に耐える。
- 高温: 炉や高温域向け。
- アナログ出力: 一部の近接センサーは(有無だけでなく)距離に比例する信号を出し、隙間・厚み・振れの測定に使う。
- NAMUR/本質安全形: 危険場所向けに、安全バリアを介して。
これらの派生形を知れば、通常のセンサーを過酷な環境で無理に働かせずに済む——最初から正しい派生形を選ぶことが、センサーが早期に死んで機械が止まるよりはるかに安い。
電気面:2線・3線・NPN/PNP
- 3線式センサー(一般的): 電源(+、−)と信号線一本を持ち、NPN(シンク)かPNP(ソース)のトランジスタ出力。PLC入力に合わせて選ぶ(ベトナムでは通常PNP)——誤配線するとセンサーのLEDは点灯するがPLCは読まない(#10と#16で論じたとおり)。
- 2線式センサー: スイッチのように直列に配線し、配線は簡潔だがオフ時の漏れ電流とオン時の電圧降下があり、PLC入力との適合を確認する必要がある。
- NOかNCか: 望む論理で選ぶ。安全/重要位置の信号には、「信号喪失=安全」となるようNCを検討する(#10のフェイルセーフ精神)。
- 応答周波数: 高速で動く機構(歯の計数、高速カム)には十分高い周波数のセンサーを選ぶ。
参考となる技術シナリオ
以下の図はMINATAの設計思想に沿った参考案である。最終的な定格と構成は、実際の資料・規格・機器に照らして確認すること。
MINATAの機械では、金属機構の位置(スライドテーブル、カム、クランプ)が誘導形センサーをDelta AX-308E入力(PNP形)へ戻す。これらの機構は鋼で環境に油と粉塵があるため、誘導形は堅牢かつ安定で、光電センサーのように油の付着で狂わされない。
一方「トレイにプラスチックワークあり」の位置は誘導形では無意味なので、MINATAは感度をワークに合わせトレイ壁を無視する静電容量形センサーを使う。PLCはこれらの信号を工程遷移の条件として読む。ある位置が異常を報告すれば(例:ワークありと報告されたのに長時間取られない)、PLCはきれいに停止し警報する——#09の「実センサーからの状態」の精神どおりだ。
よくある誤り
- 非金属の物(プラスチック、木)を捉えるのに誘導形を使う → 決して動作しない。
- ノンフラッシュ形を金属に埋め込む → 連続して物ありと報告。
- 材質補正係数(アルミ/ステンレス)を忘れる → 実検出距離が計算より短い。
- PLC入力に対しNPN/PNPを誤配線。
- 湿気/粉塵の場所で感度を再調整せず静電容量形を使う → 誤動作。
- 二センサーを近づけすぎ相互干渉を起こす。
近接センサーチェックリスト
- [ ] 金属の物 → 誘導形。非金属/液体/レベル → 静電容量形。
- [ ] 検出距離に材質補正係数を掛ける。
- [ ] 取付(埋込か否か)でフラッシュ/ノンフラッシュを正しく選ぶ。
- [ ] 資料どおり隙間を空け、二センサー間の干渉を避ける。
- [ ] NPN/PNP出力(と2/3線)がPLC入力に合う。
- [ ] 重要な位置信号にはNCを検討(フェイルセーフ)。
- [ ] 静電容量形:感度を物に合わせ、環境が変わったら再確認。
- [ ] 物を安全範囲(Snの約80%)に置き、ヒステリシスと再現性を考慮。
- [ ] 過酷な環境:適切な派生形(ファクター1、溶接界磁耐性、高温)を選ぶ。
近接センサーは単純すぎて雑に選ばれがちだが、原理の系統を選び違えることは、決して来ない信号を機械が待ち続ける不具合を生む。まず問う:捉えるべき物は金属か否か——その答えが問題の半分を決め、ヘッド寸法・取付・出力形式が残り半分を決める。
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