MINATAと学ぶオートメーション #26:制御回路図を左から右へ読む
制御回路図を左から右へ読む
新人技術者が、止まった機械の盤の故障探しを任される。図面を開くと、線・記号・数字の森が見え、そして……たたみ直し、テスターで一本ずつ配線をたどりに行く。半日が過ぎる。一方、図面を読める人は数分見ただけで、どの分岐がどのコイルへ給電し、どの条件が開いているかをたどれる。電気図面は盤の地図だ——それを読めることが、方法をもつ故障探しの人と手探りの人とを分ける技能だ。
良い知らせ:制御図は一つの一貫した規約の集合に従う。電源母線の配置、各分岐の読み方、接点‑コイルの命名、相互参照の使い方を押さえれば、ほぼあらゆる制御図が同じ流儀で読める。前の記事(自己保持回路、インターロック、正逆転…)が「語彙」を与えた。本記事は「文を読む」方法を教える。
本記事では、図の構造(電源母線、分岐/ラング)、左→右と上→下の読む順序、命名と休止状態の規約、相互参照、そして図を使って体系的に故障探しする方法を扱う。
本記事は一般的な規約を述べる。具体的記号は規格(IEC、JIS、NEMA)や工場ごとに異なりうる——図面に付く記号凡例を必ず読むこと。
構造:電源母線と分岐
はしご(ラダー)形の制御図はとても規則的な配置を持つ:
- 二本の縦線=電源: 左の母線が一方の極(例:Lまたは+24V)、右の母線が他方の極(Nまたは0V)。あらゆる分岐がこの二本の間で給電される。
- 各横分岐(ラング)=論理の一「行」: 左母線から右母線へ、文のように読む。
- 分岐番号: 分岐は参照のため通常、余白に番号(1、2、3…)が付く。

読む規則:左 → 右、上 → 下
二つの読む方向、取り違えないこと:
- 一つの分岐内は左 → 右に読む: 左に条件(接点:ボタン、センサー、リレー接点)、右のN母線の隣に結果(リレー/電磁接触器コイル、灯、弁)。文として読む:「これらの条件が満たされたら、あの結果へ給電する」。
- 分岐の間は上 → 下に読む: 分岐は順に並び、通常シーケンスや機能グループを反映する。
例えば「S1 // K1 — S0 — (K1)」の分岐は:「Start S1を押すまたはK1自己保持接点が閉じている、かつStop S0が押されていない → コイルK1へ給電」と読む。これはまさに#21の自己保持回路を、いま図面から直接読んだものだ。
命名規約:接点がコイルに一致する
これが回路をたどる鍵だ:
- 同じ記号=同じ機器。 コイル
K1とK1の名を持つあらゆる接点は、同じリレー/電磁接触器K1に属する。コイルが通電すると、別々の分岐にあっても、その名の接点すべての状態が同時に変わる。 - コイルと接点を区別: コイルは分岐の末端に円(またはコイル記号)で描かれ、接点は条件部にNO/NC(#10)で描かれる。
- 休止状態で描く: #10で述べたとおり、あらゆる接点は無通電・未動作の状態で描かれる。読むときは「この機器は休止か動作か?」と問い、それから接点状態を導く。
この規約を押さえれば、分岐3にK1接点を見たら、それが分岐1のコイルK1で制御されると即座に分かる——二つの分岐が図面上で離れていても。
相互参照:コイルと接点をたどる
大きな図面では、一つのコイルが多くの分岐、さらに多くのページに散らばる多くの接点を持ちうる。相互参照(cross-reference)がこれを解決する:コイルの隣に通常その接点を含む分岐の一覧があり、各接点の隣にコイルを含む分岐番号がある。
例えば、コイルK1の隣に「3、7、12」とあれば、K1の接点が分岐3、7、12にある。だから故障探しで、あるコイルが吸引しないのを見つけたら、図面全体を走査せずに、その接点が影響するあらゆる所を即座にたどれる。複雑な図を読むとき、もっとも時間を節約する道具だ。
記号と凡例:必ず凡例を読む
接点・コイル・機器の記号は、規格(IEC、日本のJIS、米国のNEMA)や会社ごとに異なりうる。良い図面には必ず記号凡例(legend)と機器一覧がある。詳細を読む前に:
- 凡例を見てNO/NC、コイル、特殊機器の描き方を知る。
- 機器一覧を見て
K1、S0、F1…が何か(電磁接触器、ボタン、ヒューズ…)を知る。 - 電線と端子の番号規約(#28)に注意し、図面を盤の実配線に合わせる。
記号を推測しない——一本の斜線をNOをNCと誤解するだけで、故障探しを誤った方向へ進めるのに十分だし、新規据付で誤配線するとなればもっと悪い。凡例を数分読むことが、誤ってたどる何時間かを節約する。
動力図と制御図:二つの図面、一つの系
電気図面の一式は通常、互いを補う二つの部分に分かれる。混ぜて読まないこと:
- 動力(主)回路: 大電流を運ぶ部分——ブレーカー、電磁接触器(主接点)、サーマルリレーからモーターまで。線は通常太く描かれ、三相L1/L2/L3。「電力が負荷へどう届くか」を読む所(#12、#13、#14、#23、#24)。
- 制御回路: 小電流の部分——ボタン、センサー、補助接点、電磁接触器/リレーのコイル。「論理がどう開閉を決めるか」を読む所(#21、#22、#25)。
二つの図面の接点は同じ名の機器だ:コイルKMは制御図にあり、その同じKMの主接点は動力図でモーターを開閉している。走らないモーターを故障探しするとき、両方を読まねばならない:制御図でコイルKMが通電しているか、動力図で主接点・サーマルリレー・配線に問題がないかを確認する。多くの難しい故障は、二つの図面を互いに照合して初めて明らかになる。
複数ページの図面とたどり方
大きな機械は複数ページの図面を持ち、回路がページをまたいで広がる。迷わないための方法:
- 一式全体で分岐番号を連続に付ける(ページごとにリセットしない)——相互参照がどのページでも一意の一分岐を指すように。
- 相互参照はページ/分岐を記す: 例えば「/5.3」はページ5、分岐3——たどれば正確に到達する。
- 一式の先頭の目次/ページ地図を読み、どのページが電源で、どのページが各機能グループかを知る。
- 端子表とI/O表(#31、#32)が図面と盤の実配線の橋渡し——図面の電線番号を実際の電線ラベルと必ず照合する。
規約の良い図面一式なら、数十ページの厚さでも、分岐番号と相互参照をたどるだけで、一つの信号を端から端までたどれる——これが、一貫した規約が図面の美しさより重要な理由だ。
図を使って体系的に故障探しする
図を読めることが、故障探しを「手探り」から「推論」へ変える:
- 症状から始める: 例「コイルK2が吸引しない」。コイルK2を含む分岐を探す。
- その分岐の条件を左から右に読む: K2が通電するために閉じていなければならない直列接点をすべて列挙する。
- 各条件を確認: 閉じているべきなのに開いている接点はどれか?相互参照でその接点がどの機器で制御されるかを知り、さらにたどる。
- 徐々に絞り込む——根本の条件へ。動作したサーマルリレー(95-96開、#13)、インターロック、センサー、または断線かもしれない。
この方法は、一本ずつ手探りで測るよりはるかに速く確実で、図面を読むことが回路を組むことと同じくらい重要な理由だ。
参考となる技術シナリオ
以下の図はMINATAの設計思想に沿った参考案である。最終的な定格と構成は、実際の資料・規格・機器に照らして確認すること。
機械セルの引き渡しと保守で、MINATAは明確な分岐番号、相互参照、I/O表を持つ電気図面を保つ。機構が走らないとき、技術者は関連するコイルへ給電する正確な分岐を開き、条件の連鎖を読み、相互参照で開いている条件までたどる——通常、原因(過負荷、インターロック、センサー)を数分で見つける。
Delta AX-308Eを使うセルでは、電気図のほかにPLCプログラムもある。だが読む原理は同様だ:出力(走らない機構)から論理内の条件へさかのぼる。明確な電気図と一貫したI/O表(#32)が、機械を受け取る側に速く正しく読み解かせる——きちんとした引き渡しの精神どおりだ。
よくある誤り
- 図面上の休止状態でなく、運転中の状態で接点を読む。
- 凡例を飛ばし記号を推測 → NO/NCを誤解。
- 相互参照を使わず、接点を探して図面全体を走査。
- 分岐の条件連鎖を読まず、手探りの測定で故障探しする。
- 二つの読む方向を取り違える(分岐内は左→右、分岐間は上→下)。
- 制御図だけを読み、モーターの故障探しで動力図の照合を忘れる。
図面読解チェックリスト
- [ ] 電源母線(左/右)と分岐番号の付け方を見極める。
- [ ] 各分岐を左→右に読む:左に条件、右に結果。
- [ ] 同じ名の接点=コイルと同じ機器、休止状態で描かれることを覚える。
- [ ] 相互参照でコイル↔接点をたどる。
- [ ] 詳細に入る前に凡例と機器一覧を読む。
- [ ] 故障探し:症状 → 給電する分岐 → 条件連鎖 → 開いている条件。
- [ ] 動力図と制御図の両方を読む。二つの図面で同じ名の機器をたどる。
- [ ] 複数ページの図面:連続分岐番号とページ/分岐の相互参照をたどる。
- [ ] 結論する前に、図面の電線番号を盤の実際の電線ラベルと照合する。
電気図面を読むことは生まれつきの才能でなく、数回で学べる規約の集合だ。電源母線、読む方向、命名規約、相互参照に慣れれば、図面は「記号の森」から、必要な場所へまっすぐ導く地図に変わる——それが、この後のあらゆる据付・引き渡し・保守の基礎技能だ。
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