MINATAと学ぶオートメーション #29:動力回路図 — 負荷への給電回路を読み・組む
動力回路図:負荷への給電回路を読み・組む
モーター制御盤の図面を読むとき、多くの初心者はボタンと接点だらけの制御回路にまっすぐ飛び込み、動力回路図——電源からモーターまでの大電力線を描く部分——を飛ばす。そして制御回路が「正しそう」なのにモーターが走らないと当惑する。問題はしばしば動力側にある:欠相、動作したサーマルリレー、閉じない主接点。動力図と制御図は一つの系の二つの半分だ——半分だけ読むのは半分を盲目に故障探しすることだ。
動力回路図(主回路)は大電流の経路を描く:引込みから、保護と開閉の機器を通り、負荷(モーター、加熱素子…)まで。機器の記事(#12電磁接触器、#13サーマルリレー、#14ブレーカー)で学んだすべてを、順序ある連鎖に集める。それを理解することは「電力がどの経路で負荷へ届き、どう保護されるか」を理解することだ。
本記事では、典型的なモーター動力回路の構造、機器の順序とその理由、電源から負荷へ下る読み方、制御回路との協調、そしてよくある動力側の故障を扱う。
本記事は原則を述べる。機器・電線断面積・保護協調の選定は、各実負荷への計算と適用規格に従うこと。
モーター動力回路の構造
電源からモーターへ、典型的な動力回路は順に四つの塊からなる:
- ブレーカー(Q1): 短絡を保護し、電源の開閉点となる(#14)。
- 電磁接触器の主接点(KM1): 制御指令でモーターを開閉する(#12)。
- サーマルリレー(F1): モーターの過負荷を保護する(#13)。
- モーター(M1): 負荷。

この順序は恣意的でなく、保護の論理を反映する:もっとも重大で速い故障(短絡)を守るものが電源の先頭に立ち、次に運転の開閉機器、そして実際のモーター電流を測るためモーターの近くに過負荷保護。
積み重なった防御層として想像する:ブレーカーが瞬時の惨事(数千アンペアの短絡)を止め、電磁接触器は指令で開閉する「賢いスイッチ」、サーマルリレーはモーターを最も殺しやすいくすぶる過負荷を見張る。どの層を落としたり逆にしたりしても隙間が残る:ブレーカーがなければ短絡が止まらず、サーマルリレーがなければ、ブレーカーが捉えられない過負荷でモーターが焼ける(#13、#14がこの二つの故障種別を明確に区別した)。
動力図を読む:電源から負荷へ下る
横の分岐で読む制御回路(#26)と異なり、動力回路は通常三相を縦に走らせて描き、上(電源)から下(負荷)へ読む:
- 最上部: 三相電源L1/L2/L3(あれば中性/接地も)。
- 各機器を通って下る: 各機器が三相すべてに作用する(3極ブレーカー、3つの接触器主接点、3つのサーマルリレー素子)。
- 最下部: モーター。
各塊の間で電線番号が変わる(例:電磁接触器の後で2U/2V/2W、モーターへU/V/W)——#28の番号規則どおり、機器を通ったので番号が変わる。
制御回路との関係:同じ名の機器
初心者にもっとも紛らわしい所:動力図ではKM1とF1は主接点/測定素子としてのみ現れ、KM1コイルとF1の信号接点は制御図にある。それらは同じ機器で、役割が異なる:
- KM1コイル(制御図、#21の自己保持回路)が通電 → KM1主接点(動力図)が閉じる → モーターが走る。
- サーマルリレーF1は動力図で電流を測り、過負荷時にF1接点(95-96)が制御図で開く → KM1コイルを切る → モーターが止まる。
だからモーターの故障探しは両方の図面を、機器名をたどって読まねばならない:制御回路でKM1コイルが通電しているか、動力回路で主接点・サーマルリレー・配線に問題がないかを確認する。
古典的な状況:KM1コイルは通電している(「カチッ」と聞こえ、表示灯が点く)のにモーターが回らない、または弱く回りうなる。KM1主接点の接触不良か、動力回路の欠相の可能性が高い → モーターが欠相で走り、速く発熱する。制御回路だけを見て「コイルが通電していれば済み」とすると、この故障をまったく見逃す。だから常に二つの図面を照合せねばならない。
負荷による塊の追加
四塊の構造は基本の始動器だ。負荷により追加しうる:
- VFDの前の半導体保護ヒューズ(超高速ヒューズ)。
- 速度制御や滑らかな始動が要るとき、電磁接触器を置換/併置するVFD/ソフトスタータ(第7段)。
- 正逆転(#23)やスターデルタ(#24)のための複数の電磁接触器。
- 計器/PLCへ電流を測る変流器(CT)。
- VFD負荷向けのノイズフィルタ、リアクトル。
何を追加しても、読む原則は「電源から負荷へ、正しい保護と開閉の順序を通って」だ。
モーター以外の負荷種類
モーターは典型的な負荷だが、動力回路は他の多くの負荷種類にも仕える。各々に独自の注意がある:
- 炉/加熱抵抗: 抵抗負荷で、電流に始動ピークがほぼなく、電磁接触器はAC-1で選ぶ(#12)。ただし温度制御は通常非常に頻繁に開閉する → 摩耗を減らすため電磁接触器の代わりにSSR(#11)を検討。
- 力率改善コンデンサ: 投入時に非常に大きな充電電流ピークを持ち、コンデンサ用の電磁接触器(充電制限抵抗/リアクトル付き)が要る。
- 変圧器: 投入時に励磁突入電流を持ち、適切な特性の保護(D種、#14)を選ぶ。
- 一分岐に複数の小型モーター: 総電流と各モーターの保護方法を計算せねばならない。
一般原則:負荷の電流特性を知り(始動ピーク、抵抗か誘導か、開閉頻度)、それから機器と保護特性を選ぶ。動力回路は、その上の機器が仕える負荷種類に合って初めて正しい。
動力回路を扱うときの安全
大電流と大電圧を運ぶので、動力回路は24V制御回路よりはるかに危険だ。前の記事に沿ういくつかの安全原則:
- 作業前にエネルギーを隔離: 電源を切り、施錠し札を付け(LOTO)、触れる前にテスターで無電圧を確認(正しい活線–無電圧–活線の測定手順で)。
- 残留電荷に注意: コンデンサやVFDは電源を切った後も帯電しうる——指示どおり放電を待つ。
- 故障を疑うなら初回通電時に盤の前に立たない。事前に入念に確認(#39)。
- 端子と正しい締付トルク: 緩い動力接続は発熱しアークを起こしうる——必須の点検項目。
- 十分な接地: 盤筐体とモーター枠を保護接地し、漏電時に人を守る。
動力回路は「素早く試す」場所ではない。ここの安全規律は機器だけでなく命を守る。
電線断面積と保護協調
動力図は電線選定と協調に結びつく:
- 電線断面積は負荷電流と据付条件で選ぶ。ブレーカーは電線を保護せねばならない(#14)——定格電流が電線の許容電流を超えない。
- ブレーカー–電磁接触器–サーマルリレー間の協調をメーカーの表に従い、短絡時に損傷を限定する(タイプ1/タイプ2)。
- 大電流に正しい端子と締付トルク(#38)——動力回路の緩い接続は発熱・電圧降下、さらには火災を起こす。
動力回路は大電流を運ぶので、ここの誤りは制御回路より重い結果を招く。電線・端子・保護協調に注意する。
参考となる技術シナリオ
以下の図はMINATAの設計思想に沿った参考案である。最終的な定格と構成は、実際の資料・規格・機器に照らして確認すること。
MINATAの機械セルでは、各モーターがちょうどQ → KM → F → Mの連鎖の動力回路を持ち、電線番号が図面に一致する(#28)。Delta AX-308Eの出力は電磁接触器コイルを直接でなく中継リレー(#11)を介して開閉する。KM1コイルが閉じると、動力回路のKM1主接点がモーターへ給電する。KM1補助接点とF1接点がPLCへ報告し、状態を確認し過負荷を捉える。
モーターが走らないとき、MINATAの技術者は二つの図面を並行して読む:制御回路(KM1コイルが通電しているか、F1が動作したか)と動力回路(主接点、配線、端子)。一貫した番号付けのおかげで、故障のたどりが速く確実だ——良い図面の価値そのものだ。
よくある誤り
- モーターの故障探しで制御回路だけを読み、動力回路を飛ばす。
- 同じ機器の主接点(動力)とコイル(制御)を混同する。
- 保護の順序を誤る(サーマルリレーを誤った位置に、ブレーカーを欠く)。
- 負荷電流に断面積が不足する電線を選ぶ、または電線を保護しないブレーカー。
- 緩い動力接続(締付トルク不足)が発熱と電圧降下を起こす。
- メーカーの表に従い保護を協調しない。
- エネルギーを隔離し無電圧を確認する前に動力回路を扱う。
動力図チェックリスト
- [ ] 完全な連鎖:電源 → ブレーカー → 電磁接触器 → サーマルリレー → モーター。
- [ ] 電源から負荷へ下って読む。各機器の後で電線番号が変わる。
- [ ] 同じ名の機器を制御回路へたどる(コイル/信号接点)。
- [ ] 電流に合う電線断面積。ブレーカーが電線を保護する。
- [ ] メーカーの表に従う保護協調。端子を正しい締付トルクに。
- [ ] 負荷が要れば VFD/CT/半導体ヒューズを追加。
- [ ] 負荷種類の電流特性で機器と特性を選ぶ(モーター、抵抗、コンデンサ、変圧器)。
- [ ] 作業前にエネルギーを隔離、無電圧を確認、十分に接地。
- [ ] 電源切断後のコンデンサ/VFDの残留電荷に注意。指示どおり放電を待つ。
動力回路は負荷へエネルギーを運ぶ「電気の配管」で、その上の機器の順序がまさに保護の順序だ。それを制御回路と並行して読み——同じ名の機器をたどり——読めることが、方法をもつモーターの故障探しの人と、絵の半分しか見えない人とを分ける。
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