MINATAと学ぶオートメーション #34:PLC出力のリレーとトランジスタ — 負荷に通電する前に選ぶ
PLC出力のリレーとトランジスタ:負荷に通電する前に選ぶ
PLCの出力は「何にでも使えるスイッチ」ではない。リレー出力とトランジスタ出力には、負荷の種類、開閉の速さ、接点の寿命で、それぞれ得意なところがある。選び違えたり、モジュールの能力を超える負荷を直接つないだりすれば、出力が壊れ、そのまま何時間もの停止につながる。
リレー出力とトランジスタ出力
リレー出力 は機械接点で開閉する。カタログの範囲内なら交流でも直流でも使え、絶縁の面でも素直で、それほど速くない開閉の指令に向く。その代わり接点は摩耗し、開閉回数に限りがあり、高速のパルスには向かない。
トランジスタ出力 は半導体で直流を開閉する。負荷が合っていれば速く、寿命も長い。ただしモジュールの極性と構成に従った直流だけで、交流負荷の代わりにはならない。弁のコイル、リレー、電磁接触器のような誘導性の負荷には、トランジスタを守るためにメーカー指定のサージ対策が要る。
出力を選ぶ前に負荷を読む
PLCから負荷へ線を出す前に、四つの問いに答える。
- 負荷は直流か交流か。定格電圧はいくつか。
- 保持電流はいくつか。突入電流やパルス電流はいくつか。
- 誘導性か。弁のコイル、電磁接触器のコイル、モーター、リレー。
- 速く正確な開閉が要るのか、たまのON/OFFで足りるのか。
小さなDC24Vの弁は、電流とサージ対策を確認したうえでならトランジスタ出力で足りることがある。大きな電磁接触器のコイル、多段の積層表示灯、ブザー、交流の負荷は、たいてい適切な補助リレーや電磁接触器を介す。「PLCが負荷を制御する」は「PLCが負荷へ直接給電する」という意味ではない。
補助リレーは何のために入れるか
補助リレーはPLCと現場機器のあいだに一段を置く。接点の種類を変え、一つの指令を複数の分岐に配り、交流/直流それぞれに合う接点を用意し、PLCモジュールごと交換する代わりに安価なリレーの交換で済ませられる。ただしリレーを足すことは、接点とコイル電源と故障点を足すことでもある。技術上の理由がはっきりしているときだけ使う。
直流の誘導性負荷には、フライホイールダイオードや同等の保護素子を、向きと推奨のとおりに取り付ける。交流コイルには、データシートに従ってRCスナバやバリスタ等を使う。どの負荷にも同じ素子を当てはめないこと。
リレー出力とトランジスタ出力の比較
| 観点 | リレー出力 | トランジスタ出力 |
|---|
| 負荷の種類 | 範囲内なら交流も直流も | 直流のみ、極性に従う |
| 開閉の速さ | ミリ秒級、回数に限り | 速い。パルスやPWMに向く |
| 寿命 | 機械接点が摩耗する | 負荷が合えば長い |
| 一点あたりの電流 | 比較的大きい | 比較的小さい。データシートを見る |
| OFF時の漏れ | ほぼゼロ | わずかな漏れ電流がある |
| 絶縁 | 接点で自然に絶縁 | 極性の共通に注意 |
一点の電流とコモン単位の合計電流
出力を壊しやすい落とし穴が、一点の電流だけを見て コモングループの合計電流 を忘れることだ。たとえば一点0.5Aでも、八点のグループ合計は2Aまでという仕様がある。各点は範囲内でも、同時に入れれば超える。出力ごとの保持電流と突入電流を並べた負荷表をつくり、コモン単位で足し合わせ、配置を決める前にモジュールのカタログと突き合わせること。
負荷の種類で選ぶサージ対策
| 負荷の種類 | よく使うサージ対策 |
|---|
| 直流コイル(弁、リレー) | コイルと並列にフライホイールダイオード、向きに注意 |
| 交流コイル(電磁接触器) | RCスナバ、またはバリスタ |
| トランジスタ出力の誘導性負荷 | モジュールのデータシートの推奨どおりに |
OFF時のトランジスタの漏れ電流も見ておきたい。小型リレーや感度の高い入力を、見かけ上のONに保つだけの大きさになることがある。トランジスタ出力で小さなリレーや別のPLC入力を駆動するときは、その漏れ電流と受け側の復帰電流を突き合わせる。
参考になる現場の一場面
PLCがDC24Vの電磁弁とモーターの電磁接触器を制御する。電流とサージ対策を確認できていれば、小さな弁はトランジスタ出力で駆動できる。電磁接触器への指令は、適切な接点と保護を持つ補助リレーを介す。電磁接触器の補助接点からの帰りはPLCの入力へ返し、送った指令ではなく実際の状態をHMIに映す。
これは説明のための構成だ。ヒューズの選定、出力グループの合計電流、サージ対策の構成は、モジュールのカタログ、実際の負荷、承認済みの電気図面に従うこと。
PLC出力のチェックリスト
- [ ] どの負荷にも電圧、保持電流、交流か直流かが定義されている。
- [ ] 出力グループの合計電流が、モジュールと電源の能力の範囲に収まっている。
- [ ] 誘導性の負荷に、種類の合ったサージ対策がある。
- [ ] 動力の負荷や交流の負荷は、適切な機器を介している。
- [ ] 運転上の異常を検出すべきところに、実際の状態のフィードバックがある。
- [ ] 負荷の電源線と信号線を分け、ラベルを付けている。
良い出力とは、習慣ではなく負荷から選んだ出力のことだ。#35 ではタイマとカウンタに進む。小さなブロックだが、状態を持たせずに使うと、たやすくシーケンスの不具合をつくる。
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