MINATAと学ぶオートメーション #35:PLCのタイマとカウンタ — 一つの信号を管理されたシーケンスに変える
PLCのタイマとカウンタ:一つの信号を管理されたシーケンスに変える
タイマとカウンタは、ほとんどすべての自動機に出てくる。弁をある時間だけ開けておく、製品を数える、待ち時間をつくる、運転回数を制限する。役に立つ理由は「数える」ことや「遅らせる」こと自体ではなく、正しい 状態とリセット条件 の中に置かれていることにある。
タイマは一種類ではない
- オンディレイ(TON): 入力が設定時間だけONを保つと、タイマ出力がONになる。
- オフディレイ(TOF): 入力がOFFになったあとも、しばらく出力がONのまま残る。
- パルス(TP): 適切なトリガを受けると、決まった幅のパルスを出す。
- 積算タイマ: 条件に応じて時間を足していく。明確なリセットが要る。
名称と細かい振る舞いはメーカーによって違う。イネーブル条件、リセット、分解能、そして停電をまたいで値を保持するかどうかを、必ずPLCの資料で確認すること。
基本三種の振る舞い
| 種類 | 入力がONになったとき | 設定時間(PT)に達したとき | 入力がOFFになったとき |
|---|
| TON(オンディレイ) | 計時を始める | 出力がONになる | 出力OFF、値は0へ |
| TOF(オフディレイ) | すぐ出力ON | — | PTのあいだONを保ち、それからOFF |
| TP(パルス) | 出力ONで計時開始 | PTの終わりで出力OFF | 進行中のパルスは切らない |
積算タイマが違うのは、何回かのON期間にまたがって時間を足し、専用のリセット指令でだけ0に戻る点だ。だからこそ、この型には必ず明確なリセットの道が要る。そうしないと、あるロットの値が次のロットへ残る。
カウンタにもエッジの決めごとが要る
カウンタには、はっきりしたイベントを入れる。ふつうはフィルタやパルスキャッチを通したセンサーの立ち上がりだ。センサーの長いON状態をそのまま計数命令へ入れると、プログラムの組み方次第で、一度しか数えないことも、繰り返し数えることもある。次を明確に決めておく。
- 立ち上がりで数えるのか、立ち下がりか、高速パルスか。
- 設定値はいくつで、達したとき機械は何をするのか。
- リセットは作業者か、ロットの切り替わりか、異常条件か。
- 停電をまたいで値を残す必要があるか。
タイマ、カウンタ、そしてスキャンサイクル
ソフトのタイマはスキャンごとに更新されるので、精度はスキャン時間とタイマの分解能で頭打ちになる。スキャンが10ms程度なら、5msの設定は信頼して測れない。それより細かくしたければ、ハードのタイマか割り込みを使う。スキャンで読むカウンタも、一周期より短いパルスは取りこぼす。パルスの周波数がスキャンの限界を超えるとき、たとえば高速のエンコーダを数えるときは、通常の論理ではなく内蔵の 高速カウンタ を使う。
例:排出の弁と製品の計数
センサーが不良品を検出すると、PLCは立ち上がりをつくり、「押し出し」の段をセットし、パルスタイマで弁を250ms開け、シリンダが戻ったことを示すセンサーを待ってから次の製品の計数を許す。カウンタが増えるのは、製品が実際に測定位置を通ったことを示す信号のときだけで、コンベヤへの指令からではない。
この設計は三つの仕事を分けている。検出、動作、確認だ。タイムアウトの内にシリンダが戻らなければ、後ろの製品を押し続けるのではなく、プログラムが異常を出す。
よくある失敗
- 確認の信号を持たせる代わりに、機械やセンサーの不具合をタイマで覆い隠す。
- ロットの切り替えや異常のあとにカウンタをリセットしない。
- 同じタイマやカウンタを複数のネットワークに置き、誰が値を書いたのか追えなくする。
- スキャンや入出力の分解能より短い時間を設定する。
- HMIから設定値を無制限に変えられ、記録も残らない。
参考になる現場の一場面
包装の一工程では、タイマがワーク待ちの時間を区切り、カウンタがロットの数量を持つ。どの値にも、はっきりした単位、有効な範囲、HMI上の入力場所、リセットの条件が要る。警報を出すときは、機械の段、タイマやカウンタの値、まだ満たされていない条件まで表示する。作業者に推測させないためだ。
実際の時間は、本物の機械速度、機構、センサー、評価した危険度に対して試運転で確かめること。
チェックリスト
- [ ] 望む振る舞いに合った種類のタイマ/カウンタを選んでいる。
- [ ] トリガは曖昧な信号レベルではなく、明確なイベントかエッジである。
- [ ] リセット、タイムアウト、異常時の振る舞いを明示している。
- [ ] 設定値、単位、範囲を資料とHMIに記している。
- [ ] 安全の信号や必須の確認を、タイマで代用していない。
良いタイマとカウンタは、機械にリズムと記憶を与える。#36 ではデジタル入出力からアナログ信号へ、0〜10Vと4〜20mAに広げる。
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