MINATAと学ぶオートメーション #39:サーボとインバータ — 機器の名前ではなく、必要な動きで選ぶ
サーボとインバータ:機器の名前ではなく、必要な動きで選ぶ
サーボドライブもインバータもモーターを制御するが、答えている問いが違う。速度を保てばよいコンベヤに、定寸切断機ほどの位置精度は要らないことが多い。逆に、位置決めの軸をインバータで動かして、時間で場所を合わせようとしてもうまくいかない。
本質的な違い
インバータ は、回り続ける負荷の速度制御に向く。ファン、ポンプ、コンベヤ、撹拌機。高度な制御方式を持つ機種もあるが、目的はあくまで負荷の性質に合わせてモーターの速度とトルクを管理することにある。
サーボ は、閉ループの帰り値を使って位置と速度とトルクを制御し、応答が速く、軸どうしを合わせられる。サーボはモーター、ドライブ、エンコーダの帰り値、そして機械の伝達部までを含めた一つの系である。四つの買い物ではなく、一つの系として選ぶ。
選ぶ前の五つの問い
- 機械に要るのは速度か、位置か、力とトルクか、それとも組み合わせか。
- 作業する先端で、どれだけの誤差まで許されるのか。
- 加減速の周期と、負荷の慣性はどうなっているか。
- 電子カム、複数軸の同期、位置合わせマークの追従は要るか。
- 機械側は、ベルト、ボールねじ、減速機、ガタを含めて、ドライブの精度を先端の精度に変えられるだけの剛性があるか。
高級そうだからという理由でサーボを選ばないこと。機構の剛性が足りない場合や、問題が速度だけの場合はなおさらである。反対に、決まった位置で繰り返し止まる必要のあるすべり台に、帰り値も構成も用意しないままインバータを付けてはいけない。
インバータとサーボの比較
| 観点 | インバータ | サーボ |
|---|
| 主な制御 | 速度とトルク | 位置、速度、トルク |
| 帰り値 | 無しか簡単なエンコーダ | 閉ループのエンコーダかレゾルバが必須 |
| 応答の速さ | 中くらい | 速い。指令によく追従する |
| 位置の精度 | 低い | 高く、繰り返しもよい |
| 多軸同期・電子カム | 限られる | 得意なところ |
| 費用と複雑さ | 低い | 高い |
慣性比 — 飛ばされがちな数値
サーボでは、負荷の慣性とモーターの慣性の比が、安定性と調整のしやすさを大きく左右する。多くの用途で5〜10対1より下を目安に置く。これより大きくなると調整が難しく、振動も出やすい。計算するときは、減速比を通して負荷の慣性をモーター軸へ換算する。減速比がnなら、換算した慣性はn²で割る。そしてガタや弾性の大きい機構は、どれだけ良いドライブを使っても、サーボの利点を飲み込んでしまう。
参考になる現場の一場面
供給側のコンベヤは、機械の周期に合わせて速度を変えるためにインバータでよい。決まった長さで止まる切断部は、エンコーダの帰り値と、はっきり決めた原点復帰の手順を持つサーボにする。全体をまとめるPLCは、準備完了、異常、位置到達、そして移動範囲の限界を知っている必要がある。動きに関する安全はリスクアセスメントから設計するものであって、ソフトの停止指令で代えられるものではない。
判断でよくある間違い
- モーターの運転時間を、位置を測る手段として使ってしまう。
- 出力だけを比べて、慣性、運転の頻度、速度、機構を見落とす。
- 電源投入後の原点復帰の手順を決めていない。
- 機械に関わるパラメータを、制限なくHMIから変えられるようにしてしまう。
- 移動範囲、機械的な限界、安全な停止を、最初から数えていない。
選定のチェックリスト
- [ ] 求める動きを、速度・位置・誤差・周期の言葉で書いた。
- [ ] 負荷、慣性、伝達部を計算するか評価した。
- [ ] 帰り値、原点復帰、移動範囲の限界を確認した。
- [ ] 機械に必要なドライブの状態を、PLCとHMIが読める。
- [ ] 安全の構成を、運転の理屈とは別に見直した。
正しいドライブを選ぶことは、まず正しい問いを選ぶことである。次の #40 ではエンコーダに踏み込む。動きの指令を、確かめられるデータに変える帰り値の仕組みだ。
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