MINATAと学ぶオートメーション #52:試運転のチェック表 — 自動を押す前に、危険を小さく分ける
試運転のチェック表:自動を押す前に、危険を小さく分ける
自動運転の試運転は、それまでの前提が現実とぶつかる場面である。いちばん危ないのは、モーターの回転方向、移動範囲、センサー、安全な区域を確かめないまま、「どこで間違うか見てみよう」と自動に入れることだ。良い手順は、危険を段に分ける。一段ごとに一つのことを確かめ、それから次へ進む。
原則:一段につき、確かめられる条件を一つ
試運転の一段ごとに、入る条件、行うこと、期待する結果、制限時間、止める基準 を決めておく。そうすれば、どこかで外れたときに、試験する人はどこで止めるべきか、なぜ止めるのかが分かる。機械全体が走り回ってから当てずっぽうで考えることにならない。
段を追ってエネルギーを上げる
- HMIからの入出力の確認: 入力が正しく読めているか、出力が正しい機器を動かすかを、安全な状態で一点ずつ確かめる。
- 一つずつ寸動: 軸やコンベヤを手動で低速に動かし、方向と移動範囲を確かめる。
- インターロックと安全の試験: 非常停止、扉、ライトカーテン、移動範囲の限界が、それぞれ正しく切ることを確かめる。
- 警報と無応答の試験: 制御した異常をわざとつくり、機械が知らせて止まることを確かめる。
- 低速での自動運転: 周期を落として回し、生産量を求める前によく見る。
- 少しずつ定格へ: 前の段が安定し、見ている人がいるときだけ上げる。
自動に入る前の前提条件
初めて自動に入れる前に。モーターの回転方向を確認した。移動範囲と原点復帰を確かめた。位置のセンサーが正しく読めている。安全な区域が空いている。そして止められる人がそばで見ている。ここを飛ばすことが、機械のぶつかりと機器の破損の出どころである。
参考になる現場の一場面
ある機械では、HMIから入出力を試し、一つずつ寸動して方向を確かめ、インターロックと警報を試験し、そのうえで見ている人を置いて低速の自動運転に入った。周期が何回か安定して回ってから、担当者は設計の生産量へ向けて少しずつ速度を上げ、それぞれの段で数値を記録した。
順序、判定の基準、しきい値は、その機械の性質、リスクアセスメント、検収の要求に従う。
よくある間違い
- 基本を確かめないまま、「どこで間違うか見る」ために自動に入れる。
- 止める基準も制限時間もない段をつくる。
- インターロックと安全の試験を飛ばし、動くことだけを追う。
- 低速を通さずに、いきなり定格まで上げる。
- 段ごとの数値を記録せず、あとで比べるものが残らない。
試運転のチェックリスト
- [ ] どの段にも、入る条件、行うこと、結果、制限時間、止める基準がある。
- [ ] 自動の前に、入出力を試し、機器を一つずつ寸動した。
- [ ] インターロック、非常停止、安全機能が試験で正しく切れた。
- [ ] 制御した異常で、警報と無応答の扱いを試験した。
- [ ] 生産量を上げる前に、見ている人を置いて低速で自動運転した。
危険を小さく分けることで、試運転は管理できる手順になる。次の #53 では予防保全に移る。保全の予定表を、役に立つデータに変える話だ。
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