MINATAと学ぶオートメーション #53:予防保全 — 保全の予定表を、役に立つデータに変える
予防保全:保全の予定表を、役に立つデータに変える
予防保全に値打ちが出るのは、そこから先を読める データ が残るときだけである。項目ごとに「確認済み」と印を付けた紙のことではない。「ファンを確認した」と書いても、そのファンが健やかなのか、そろそろ駄目なのかは分からない。「盤内42℃、先月より5℃上昇」と書けば、ずいぶん多くのことが分かる。
項目ごとに、合否の基準を持たせる
良い保全の項目は三つでできている。合否の基準、測った値か写真、そして 受け持つ人。基準がはっきりしていれば、別々の人が同じ項目を見ても、比べられる結果になる。そうして初めて、時間を追った傾向に意味が出る。
制御盤で優先したい項目
| 項目 | 何を見るか | 記録する値 |
|---|
| ほこりと熱 | ほこりの付き方、盤内の温度 | 測った温度、写真 |
| ファンとフィルタ | ファンが回っているか、目詰まりはないか | 状態、フィルタ交換の日付 |
| 端子台 | 締付トルク、発熱の跡 | 熱を持った箇所、かけたトルク |
| インバータと電源 | 警告、稼働時間、温度 | 警告の番号、時間 |
| 電池と控え | 保持用の電池の状態、控えの有無 | 確認した日付、復元の結果 |
データから予測へ
きちんと記録が続いていれば、傾向は事故になる前に見えてくる。盤内の温度が少しずつ上がっていれば、フィルタの目詰まりかファンの弱りである。端子が前より熱を持っていれば、接触が緩んできている。インバータの稼働時間がしきい値に近づけば、清掃かファンの交換の時期だ。この「先に見える」という一点が、予防保全と壊れてからの修理を分けている。
参考になる現場の一場面
ある機械には、盤のファンの点検、定期的な温度の記録、プログラムの控えの予定が組んである。何回かの測定で盤内の温度が上がる傾向を見せたとき、保全の担当者は、インバータが過熱を知らせて交替の途中で機械が止まる前に、フィルタと風の流れに手を打った。早く動くほうが、突然の停止よりずっと安上がりである。
項目、周期、判定の基準は、機器の説明書、運転の条件、その機械の履歴に従う。
よくある間違い
- 基準も測定もないまま「確認済み」と書く。
- 傾向を残さず、点検のたびに孤立した点だけができる。
- インバータが異常を出すまで、盤の熱とほこりを放っておく。
- 控えが本当に戻せるかを試さない。
- 項目に受け持つ人を決めない。
予防保全のチェックリスト
- [ ] どの項目にも合否の基準と測った値がある。
- [ ] 盤の熱、ほこり、ファン、フィルタを傾向として記録している。
- [ ] 端子を規定のトルクで締め、熱を持った箇所を記録した。
- [ ] 控えは取るだけでなく、戻せることを試した。
- [ ] 項目ごとに受け持つ人と予定がはっきりしている。
データが残る保全は、先を読める保全である。次の #54 ではPLCのプログラムの控えに入る。控えの値打ちは、戻せる範囲でしかない。
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