MINATAと学ぶオートメーション #54:PLCプログラムの控え — 控えの値打ちは、戻せる範囲でしかない
PLCプログラムの控え:控えの値打ちは、戻せる範囲でしかない
PLCのプログラムの控えは、必要になった日に 戻せる ぶんだけの値打ちしかない。控えはあると信じている工場は多い。PLCが壊れた朝になって、唯一のファイルが辞めた人の持ち出し用の計算機の中にあると分かるまでは。あるいは、手元のソフトの版では開けないと分かるまでは。
中央に置き、権限を決めて保管する
個人の計算機にあるものを唯一の控えにしてはならない。権限の管理と自身の控えを持つ中央の場所に置き、必要なときに複数の担当者が取り出せるようにする。担当者の手元にあるものは作業用の写しであって、工場の正式な控えではない。
名前の付け方と、控えに含めるもの
名前には 機番、版数、日付、変えた人、変えた理由 を入れる。ひとそろいの控えには、たいてい次のものが入る。
- PLCとHMIの 編集できる元のファイル。
- 機器に書き戻すのに要るなら、変換済みのファイル。
- 機器のパラメータ: インバータやサーボの書き出し、通信の設定。
- 関わる資料: 入出力の一覧、変更の記録、対応する版数の図面。
変換済みのファイルだけを残すと、直す力を失う。元のファイルはあってもインバータのパラメータがなければ、復元は中途半端になる。
戻せることを、定期的に試す
一度も戻したことのない控えは、保証ではなく思い込みである。正しい版のソフトで定期的に開いてみる。事情が許すなら予備の機器へ書き込み、復元の手順が本当に通ることを確かめる。開くのに要るソフトとファームウェアの版数も記録しておく。
参考になる現場の一場面
試運転のあと、担当者はPLCとHMIのファイルを保存し、インバータのパラメータを書き出し、入出力の一覧と変更の記録を添えて、ひとそろいの引き渡しの束にした。その束を別の計算機で開き直し、版数が合っていること、欠けがないことを確かめてから、はっきりした名前の付け方で中央に保管した。何年かのちにPLCを替えることになっても、別の人が、当時の担当者を探さずに戻せる。
名前の付け方、保管の場所、試験の周期は、組織の方針と機器の要求に従う。
よくある間違い
- 唯一のファイルを個人の計算機に置き、中央に保管しない。
- 版数も日付もない名前を付け、どれが最新か分からなくなる。
- 変換済みのファイルだけを残し、直せなくなる。
- インバータのパラメータの書き出しを省き、復元が中途半端になる。
- 一度も開かず、戻さず、使えるかどうか誰も知らない。
控えのチェックリスト
- [ ] 中央に保管し、権限を管理し、それ自体の控えもある。
- [ ] 名前に機番、版数、日付、担当者、理由が入っている。
- [ ] 元のファイル、変換済みのファイル、パラメータ、資料がそろっている。
- [ ] 開くのに要るソフトとファームウェアの版数を記録した。
- [ ] 定期的に開くか戻すかして、使えることを確かめている。
戻せる控えは、生産ラインにとって本物の保険である。次の #55 ではHMIの警報の設計に移る。良い警報は、行動につながらなければならない。
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