MINATAと学ぶオートメーション #56:監視制御による見える化 — 機械の状態を、運転に使える情報へ
監視制御による見える化:機械の状態を、運転に使える情報へ
監視制御は、あちこちに散らばった機械の状態を、判断に使える情報へ変える。とはいえ、目的を決めずにあらゆるタグを画面へ引っぱり上げた系は、美しくて役に立たない画面をつくる。数字は多く、決められることは少ない。
運転の問いから始める
まず、その系が何のためにあるのかを決める。停止時間を減らすため か、エネルギーの消費を追うため か、品質をたどれるようにするため か。目的ごとに、集めるべきデータも、まとめ方も、見る人も変わる。そこにあるからという理由でタグを引っぱらない。立てた問いに答えるデータを選ぶ。
データの品質は、最初に設計する
図が信用できるのは、その裏のデータが信用できるときだけである。始めのうちに、そろった 時刻の印、データの品質 という考え方(良い、疑わしい、欠けている)、接続が切れたとき の扱い、そして 見る権限 を設計しておく。回線が落ちているのに、画面が何ごともなかったように水平な線を描き続けるなら、それは読む人を欺いている。
まとめてから、掘り下げる
良い監視制御は、まず全体を見せ、詳細はそのあとに置く。全体の画面には、機械の群ごとの準備完了・運転中・異常の状態、停止時間、よく出た警報を並べる。おかしなところが見えたら、その機械へ掘り下げて原因を探す。何百というタグを運転者に読ませ、頭の中で集計させるのは、設計の失敗である。
参考になる現場の一場面
全体の画面に、複数の機械の準備完了・運転中・異常、停止時間、よく出た警報がまとめてある。ある機械の停止時間が伸びたとき、管理する人はその機械へ掘り下げ、直近の警報と、それが起きた交替の時間帯を見て、保全に具体的な仕事を渡した。データには時刻の印と品質の印が付いているので、「機械が止まった」と「監視の回線が切れた」を取り違えることはない。
集めるデータの範囲、系の構成、見る権限は、運転の目的と工場の方針に従う。
よくある間違い
- 目的を決めずに、あらゆるタグを画面へ引っぱり上げる。
- 品質の印がなく、回線が落ちても普通に見える線を描いてしまう。
- 時刻の印がそろわず、時間を追って比べられない。
- 詳細の画面しかなく、全体を見る場所がない。
- 権限を分けず、誰でも監視の設定を変えられる。
監視制御のチェックリスト
- [ ] タグを選ぶ前に、監視の目的を決めた。
- [ ] 時刻の印、データの品質、切断時の扱いを設計に入れた。
- [ ] 全体の画面と、機械ごとの掘り下げの両方がある。
- [ ] 見る権限と設定を変える権限が、はっきり分かれている。
- [ ] データが欠けたり疑わしいときも、図が正直である。
良い見える化は、数字を並べることではなく、データを判断に変えることである。次の #57 では盤での電力の計測に入る。一つの数値から、消費を減らす判断までの話だ。
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