MINATAと学ぶオートメーション #58:設備総合効率のデータ — 割合を出す前に、状態を定義する
設備総合効率のデータ:割合を出す前に、状態を定義する
設備総合効率は、見た目に分かりやすい割合である。しかし信用できるのは、機械の状態をあらかじめ定義してある ときだけだ。止まっている時間をすべて「機械の故障」にしてしまえば、出てくる割合は誤り、そのあとの判断も誤る。
三つの要素
設備総合効率は、時間の稼働率と、性能と、品質の掛け算である。時間の稼働率は、計画に対して機械が動けた時間を測る。性能は、設計上の速さに対する実際の速さを測る。品質は、良品の割合を測る。値が低いというだけでは理由は分からない。三つに分けて初めて、直すべきなのが時間なのか、速さなのか、品質なのかが見えてくる。
停止の理由の分類
止まっている時間がすべて機械の故障なわけではない。理由の分類と、見分ける決まりが要る。
| 分類 | 例 | どう数えるか |
|---|
| 段取り替え | 型の交換、調整 | 計画のうち。機械の故障ではない |
| 材料待ち | 入ってくる材料がない | 機械の外側の要因 |
| 払い出し待ち | 次の機械がいっぱい | 機械の外側の要因 |
| 故障 | 技術的な不具合 | 時間の稼働率を下げる |
| 保全 | 計画したもの、突発のもの | 種類に応じて |
理由の分類がなければ、あらゆる停止が「故障」に積み上がり、材料の欠品の責任まで保全が負わされる。
信用できるデータの出どころ
このデータには、時刻の印、機械の状態、そしてPLCから取る 信用できる計数 が要る。人が入れるのは、判断が要る部分だけでよい。長く止まったときの理由などである。製品の数は、コンベヤへの指令ではなく、本当の確認の信号から数える。自動で集めたデータは、誤差も、改善の会議での言い争いも減らす。
参考になる現場の一場面
PLCがセンサーと理屈から、運転中、材料待ち、払い出し待ち、故障を分類する。長い停止については、HMIが運転者に理由を選ばせる。画面は交替ごと、品種ごとに集計する。材料待ちと払い出し待ちを故障から分けてあるので、改善の担当者は、損失の多くが故障ではなく材料待ちから来ていると分かり、力を注ぐ場所を間違えずに済む。
状態の定義、理由の分類、計算の仕方は、その工場の取り決めと生産の工程に従う。
よくある間違い
- 止まっている時間をすべて機械の故障として扱う。
- 時間、性能、品質を分けない。
- 確認の信号ではなく、指令から製品を数える。
- 理由の分類がなく、損失の出どころが分からない。
- すべてを手で入力し、データが偏って言い争いになる。
データのチェックリスト
- [ ] 割合を出す前に、機械の状態を定義した。
- [ ] 段取り、材料待ち、払い出し待ち、故障、保全を理由で分けている。
- [ ] 時刻の印、状態、計数をPLCから自動で取っている。
- [ ] 製品の数を、本当の確認の信号から数えている。
- [ ] 時間、性能、品質をそれぞれ切り分けて手を打てる。
状態をきちんと定義することが、使える指標の土台である。次の #59 では産業用の遠隔接続に移る。データの問いと、守りの境目から始める話だ。
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