MINATAと学ぶオートメーション #60:自動化案件の進め方 — 機器より先に、要求を固める
自動化案件の進め方:機器より先に、要求を固める
自動化の案件がうまくいくかどうかは、その多くが最初の段階、要求を固めるところで決まっている。機器を選ぶところではない。機械を一度見に行っただけで生産量ややり方を約束してしまうのが、「動くけれども、客が必要としていたものではない」系にたどり着く、いちばん多い道である。
機器より先に、要求を固める
材料、周期、既存の機械とのつなぎ目、安全についての前提は、確かめられる要求 として書き出す。誰かの頭の中に置いておかない。良い要求は次を語る。どの製品か、タクトタイムはいくつか、どの公差か、どの機器と話すのか、電源と空気の条件はどうか、そして何をもって合格とするか。PLCもインバータもセンサーも、選ぶのは そのあと である。要求に仕えるために選ぶ。
案件を関門で区切る
関門を置き、それぞれに、次へ進む前に達しておくべき成果物を決める。
| 関門 | 主な成果物 |
|---|
| 要求の確定 | 要求の一覧、前提、合格の基準 |
| 設計の確定 | 図面、機器の選定、制御と安全の構成 |
| 工場での立会検査 | 製作した工場での合格 |
| 据付と現地での立会検査 | 現地での合格 |
| 教育と完成図書 | 動かせる機械と、そろった資料 |
「速くするため」に関門を飛ばすと、たいてい最後に払うことになる。そのころには、直す費用は何倍にもなっている。
前提と変更を管理する
確かめていない前提は、それ自体が危うさである。書き出して、早いうちに確かめる。途中で要求が変わったときは、費用と日程と安全への影響を見る手続きを通す。静かに紛れ込ませない。
参考になる現場の一場面
あるコンベヤの案件は、タクトタイム、製品の種類、床の配置、使える電源と圧縮空気、既存の機械とのつなぎ目、そして合格の基準から始まった。PLCもインバータもセンサーも、そのあとで選んだ。要求がはっきり固まっていたので、工場での検査も現地での検査も、照らし合わせる相手があった。完成図書も、実際に引き渡した系のとおりになった。
範囲、関門、合格の基準は、契約、リスクアセスメント、客の要求に従う。
よくある間違い
- 一度見に行っただけで、生産量ややり方を約束する。
- 要求が固まる前に機器を選ぶ。
- 時間を惜しんで、工場や現地の立会検査を飛ばす。
- 前提を書かず、確かめもしない。
- 途中の変更を、影響を見ずに受け入れる。
進め方のチェックリスト
- [ ] 要求と前提を、確かめられる一覧として書いた。
- [ ] 機器は、固めた要求に仕えるためにあとから選んだ。
- [ ] 関門があり、それぞれに明確な成果物がある。
- [ ] 工場と現地の立会検査に、具体的な合格の基準がある。
- [ ] 変更が、影響を見る手続きを通っている。
先に要求を固めることが、案件を狙った場所へ着地させる、いちばん安上がりな方法である。次の #61 からは運転の区切りに入る。機械の状態、停止・運転・異常の話から始める。
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