MINATAと学ぶオートメーション #61:機械の状態 — 停止・運転・異常と、その間の条件
機械の状態:停止・運転・異常と、その間の条件
機械は、一つの接点で「動く」か「止まる」かに分かれるものではない。理屈を書き始める前に状態の模型をつくり、運転者とPLCとHMIが、機械の今について同じことを理解できるようにする。最初にはっきりさせておけば、あとで貼り足す理屈がずいぶん減る。
運転の接点一つでは足りない
実際の機械はいくつもの状態を通る。待機、準備完了、運転中、制御しながらの停止、非常停止、そして異常。これらを「動いている・止まっている」に押し込めると、運転者に必要な情報が失われ、理屈も検証しにくくなる。状態にはそれぞれ、機械が何をしてよいか、何を表示すべきかという意味がある。
状態の表が、そのまま設計になる
プログラムを書く前に状態の表を描く。状態ごとに、受け付けてよい指令、許可の条件、入ったときの動き、そして出る条件を決める。
| 状態 | 受け付ける指令 | 許可の条件 | 出る条件 |
|---|
| 待機 | — | 電源と安全が健全 | 準備の指令が来たとき |
| 準備完了 | 始動 | 扉が閉、異常なし | 有効な始動が押されたとき |
| 運転中 | 停止 | 運転の条件が保たれている | 停止、周期の完了、異常 |
| 停止中 | — | — | 安全に止まりきったとき |
| 異常 | 復帰 | 原因が処置されている | 復帰と確認 |
遷移には理由が要る
どの遷移にも、入る条件、出る条件、そして安全な動きが要る。扉が開いたままの始動の指令は、運転にしてはならない。代わりに 阻んでいる理由 を残し、HMIが運転者に説明できるようにする。「扉が開いているため始動できません」と。黙って何も起きないのがいちばんよくない。
参考になる現場の一場面
ある包装の工程では、PLCが一つの状態の変数と、許可の条件の一覧を持っている。扉が開いたまま運転者が始動を押すと、機械は準備完了にとどまり、HMIが阻んでいる理由を出す。扉が閉じ、異常もないときにだけ、始動が機械を運転中へ進める。異常の状態からは、意図した復帰の操作を経なければ準備完了へ戻れない。
状態の一覧、条件、動きは、リスクアセスメントと実際の機械の要求に従う。
よくある間違い
- 何もかもを運転の接点一つで表し、状態の情報を失う。
- 入る条件も出る条件もはっきりしない遷移をつくる。
- 始動を阻んでおきながら、HMIに出す理由を残さない。
- 運転上の停止と非常停止を、同じ枝の中で混ぜる。
- 意図した復帰なしに、異常から準備完了へ勝手に戻す。
状態設計のチェックリスト
- [ ] 受け付ける指令と許可の条件を書いた状態の表がある。
- [ ] どの遷移にも、入る条件、出る条件、安全な動きがある。
- [ ] 阻まれた指令が、HMIで出せる理由を残す。
- [ ] 運転上の停止と非常停止が分かれている。
- [ ] 異常からは、意図した復帰を経なければ動き出せない。
はっきりした状態の模型は、検証できる理屈と、自分で説明できるHMIの土台である。次の #62 では、この模型をPackMLの決まりへそろえ、ライン全体の組み合わせを楽にする話に入る。
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