MINATAと学ぶオートメーション #65:手動と自動、段差のない切り替え
手動と自動、段差のない切り替え
手動とは、自動を切った状態のことではない。それ自体の権限と、許可の条件と、限界を持った一つのモードである。手動と自動のあいだの受け渡しを雑に扱うことが、モードを切り替えた瞬間の思いがけない動きの出どころになる。
手動にも規律がある
手動の中でも、寸動や指令のひとつひとつは、機械側のインターロック、安全な区域、関わる機器によって縛られている。「手で動かす」ことは、守りを外すことではない。運転者には、いまどの機器を選んでいるのか、どの指令を保っているのか、どの条件が操作を阻んでいるのかが、はっきり見えていなければならない。
自動へ渡す前の、同期の一点
手動から自動へ移るには、接点を一つ変えるだけでは足りない。同期の一点が要る。自動が権限を受け取る前に、
- 機器が有効な位置にいること。途中で止まっていないこと。
- 手動の指令がすべて解かれていること。
- 設定値と順序の状態が、現場の実際と合っていること。
手で開けた弁が開いたまま自動が引き継げば、周期の最初の段が思いがけない動きを生むことがある。
段差のない切り替え
比例積分微分のような連続した制御では、手動と自動のあいだの切り替えに 段差のない受け渡し が要る。自動に入るとき、制御器はいまの出力を出発点として受け取り、積分の項もそれに合わせて初期化する。そうすれば出力は跳ばない。逆に手動へ移るときは、手動の値がいまの出力から始まる。この設定は、使っている制御器で実際に確かめること。
参考になる現場の一場面
ある機械では、手動で機器を一つずつ寸動できる。移動範囲の制限もインターロックもそのまま効いている。運転者が自動へ切り替えると、PLCは機器が有効な位置にいるか、手動の指令が解かれているかを確かめる。足りなければ自動は権限を受け取らず、HMIが足りない条件を名指しする。温度の制御は段差のない受け渡しを使うので、切り替えても出力は揺れない。
同期の条件と受け渡しの設定は、機械の設計と制御器の資料に従う。
よくある間違い
- 手動を、インターロックも制限も効かないモードだと思う。
- 接点を一つ変えるだけで自動へ移し、同期をしない。
- 機器が途中で止まったまま、自動に権限を渡す。
- 自動に入る前に、手動の指令を解かない。
- 段差のない受け渡しを省き、切り替えた瞬間に出力が跳ぶ。
手動と自動のチェックリスト
- [ ] 手動でもインターロックと制限が効き、それが表示されている。
- [ ] 自動へ移るには、機器が有効な位置にいることが要る。
- [ ] 手動の指令が解かれ、設定値が現場と合っている。
- [ ] 条件が足りなければ自動に入らず、HMIが理由を言う。
- [ ] 連続した制御が段差のない受け渡しを使い、制御器で確かめてある。
きちんとした受け渡しが、モードの切り替えを驚きにしない。次の #66 では生産の条件と機械のパラメータに入る。プログラムを書き換えずに品種を替える話である。
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