MINATAと学ぶオートメーション #66:生産条件と機械パラメータ — 理屈を変えずに値を変える
生産条件と機械パラメータ:理屈を変えずに値を変える
よい生産条件の仕組みは、PLCの理屈に手を入れずに、管理された形で品種を切り替えさせてくれる。してはならないのは、HMIを、誰でも機械のどの数字でも書き換えられる画面に変えてしまうことである。
まず、値を分類する
仕組みをつくる前に、機械の値を分類する。群ごとに扱いが違うからだ。
| 群 | 例 | 誰が変え、どう保管するか |
|---|
| 品種の設定値 | 温度、速度、時間 | 生産条件として、権限に応じて |
| 技術上の限界 | 機構が耐える上下限 | 技術部門。固く施錠する |
| 校正の定数 | 換算、センサーのずれ | 保全部門。記録を残す |
| 安全に関わる値 | 安全のしきい値 | 生産条件に入れない |
| 据付時の設定 | 初回の構成 | 高い権限。めったに変えない |
これらを一つの「設定」の画面に混ぜることが、誤りと事故の出どころである。
生産条件には、名前と版数が要る
一つの生産条件には、識別の番号、版数、変えた人、変えた時刻、承認の状態 が要る。追跡が求められるなら、まとまりごとの写しも要る。いまの値しか残っていなければ、一度書き換えたあと、前の品種がどの値で走ったのかを誰も言えない。品質の申し立てが来た日には、それが重い問題になる。
値と理屈を分ける
生産条件が変えるのは データ であって、ふるまい ではない。PLCの理屈は条件を読み込み、そのうえで自分の限界を当てる。技術上のしきい値を超えた値は、はねつけなければならない。品種を替えることが、機械の安全を替えることになってはいけない。
参考になる現場の一場面
ある機械は、品番ごとに生産条件を持ち、それぞれに版数と承認の状態が付いている。品種を替えるとき、運転者は承認済みの条件を選ぶ。PLCは設定値を読み込むが、固定された技術上の限界の中に必ず収める。まとまりごとに条件の写しを残すので、あとから「この製造分はどの値で走ったのか」に答えられる。
パラメータの一覧、変える権限、保管の仕方は、製品の要求と品質の手順に従う。
よくある間違い
- 安全に関わる値まで含めて、あらゆる値を一つの設定画面に載せる。
- 版数がなく、過去の製造分の値をたどれない。
- 生産条件に、技術上や安全上の限界を上書きさせる。
- 権限を分けず、誰でも品種の設定値を変えられる。
- いまの値しか残さず、変更の履歴を失う。
チェックリスト
- [ ] 値を群に分け、それぞれに変える権限を決めた。
- [ ] 生産条件に識別の番号、版数、変えた人、時刻、承認の状態がある。
- [ ] PLCが、読み込んだ値を固定の限界の中に収めている。
- [ ] 安全に関わる値を生産条件に入れていない。
- [ ] まとまりごとに写しを残し、あとからたどれる。
値と理屈を分けておくことが、品種の切り替えを、危うい作業ではなく日常の作業にする。次の #67 では、まとまりごとの生産の制御と、ISA-88の考え方に入る。
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