MINATAと学ぶオートメーション #67:バッチ制御とISA-88 — レシピ、設備、手順を分ける
バッチ制御とISA-88:レシピ、設備、手順を分ける
ISA-88は、まとまり単位の生産について、関わる全員に一つの言葉を与える。製品が何を必要としているのか、設備には何ができるのか、そして制御の手順がそれをどう実行するのか。この三つの層を分けておくことが、系を広げやすく、見直しやすくする。
タグの名前から始めない
始まりは 物理のモデル であって、入出力の番地ではない。ISA-88は設備を階層に分ける。工程の区画がいくつものユニットを含み、ユニットが設備の単位を含み、設備の単位が制御の単位を含む。この構造は、工程が実際にどう動いているかを写したものであり、制御の理屈を掛けるための骨組みになる。
レシピと設備を分ける
この規格の核心は、二つの層を分けることにある。
- レシピ は 製品が何を必要とするか を語る。目標、量、順序、限界。入出力の番地も設備の理屈も、ここには入れない。
- 設備の能力 は 機械に何ができるか を語る。設備が備えるフェーズ、たとえば投入、撹拌、加熱、排出。
二つが分かれているから、品種を変えてもPLCに手を入れることはめったにない。同じ能力を備えているなら、一つのレシピを別の設備で走らせることもできる。
手順のモデル
物理のモデルと並んで、手順のモデルがある。手順がユニットごとの手順を含み、それが操作を含み、操作がフェーズを含む。設備の本当の理屈が走るのはフェーズの中である。弁を開ける、ポンプをある量まで回す。レシピは、それらのフェーズを製品が求める順序に並べる。
参考になる現場の一場面
ある調合の区画では、反応槽のユニットが投入、撹拌、加熱、排出のフェーズを備えている。製品Aのレシピは、自分の量と時間でそれらのフェーズを呼ぶ。製品Bのレシピは、同じ設備を別の値で使う。新しい製品を足すとき、担当者はフェーズの理屈をいじるのではなく、新しいレシピを書く。そのレシピを見直すのに、PLCのプログラム全体を読み直す必要はない。
物理と手順のモデル、そしてレシピと設備の境目は、生産の工程と追跡の要求に従う。
よくある間違い
- 物理のモデルではなく、入出力のタグから始める。
- レシピの中に、入出力の番地や設備の理屈を入れる。
- 「製品が何を必要とするか」と「機械がどうやるか」を混ぜる。
- 製品を足すたびに理屈を書き直す。
- まとまりごとの追跡を考えずに手順を設計する。
チェックリスト
- [ ] 物理のモデルがある。区画、ユニット、設備の単位、制御の単位。
- [ ] レシピが製品を語り、入出力も設備の理屈も持たない。
- [ ] 設備の能力が、機械の備えるフェーズを語っている。
- [ ] 手順が、フェーズを製品の順序へ並べている。
- [ ] 製品を足す作業が、主にレシピを書くことで済んでいる。
層を分けておくことが、書き直さずに育つ生産の仕組みをつくる。次の #68 では比例積分微分の制御、つまり連続した制御の基礎に移る。
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