MINATAと学ぶオートメーション #72:空気圧の弁とシリンダ — PLCの指令を書く前に、回路を読む
空気圧の弁とシリンダ:PLCの指令を書く前に、回路を読む
PLCを追いかける前に、どの弁がシリンダへ空気を送り、あるいは抜いているのか、そしてどの端のセンサーがその動きを確かめているのかを読めるようにしておく。「PLCがうまく動かない」と報告される不具合の多くは、理屈ではなく空気の回路の側にある。
弁とシリンダの種類
この違いが、電気を失ったときと復帰したあとのふるまいを決める。
| 観点 | 種類 | 意味 |
|---|
| 単安定の弁 | 電気を失うとばねで元の位置へ戻る | 決まった側へ倒れる |
| 双安定の弁 | 電気を失っても最後の位置を保つ | 自分では戻らない。指令が要る |
| 3ポート2位置 | 一つの経路を開閉する | 単動。ばねか荷重で戻る |
| 5ポート2位置 | 二つの経路を切り換える | 複動。両方向を制御できる |
弁が単安定か双安定か、シリンダが単動か複動か。それが分かって初めて、空気や電気を失ったあと、機器が位置を保つのか、戻るのか、その場で止まるのかが分かる。安全の設計に欠かせない情報である。
指令ではなく、帰り値を見る
前進の指令は、シリンダが前進したことの証明にはならない。本当に動いたことを確かめるのは、端のセンサーか、それに代わる測定だけである。シリンダの順序では、行程の時間 と 帰り値 の両方を見る。制限時間の中で確認が来なければ、周期を止め、設計どおりにエネルギーを保つか抜き、機器の名前を挙げた警報を出す。
安全側の位置
シリンダごとに、エネルギーを失ったときの安全な位置を決め、それに合う弁を選ぶ。材料をつかんでいるシリンダは、空気を失っても力を保つ必要があるかもしれない。持ち上げているシリンダには、荷が落ちないための仕掛けが要るかもしれない。これは安全の判断であり、リスクアセスメントから決める。たまたま手元にあった弁から決めるのではない。
参考になる現場の一場面
あるつかみの工程では、複動のシリンダを5ポート2位置の弁で動かし、端のセンサーを二つ付けている。PLCはつかむ指令を出すが、制限時間の中で「つかんだ」のセンサーが応えたときにだけ次へ進む。応えなければ機械は止まり、HMIは「つかみシリンダ:行程が確認できません」と出す。弁は、空気を失ったときにシリンダが材料を保ち続けるように選んである。急に放してしまわないように。
弁の種類、シリンダの種類、安全側の位置は、空気圧の回路図とリスクアセスメントに従う。
よくある間違い
- 回路と帰り値を読む前に、PLCの指令を書く。
- 前進の指令を、前進した証拠として扱う。
- シリンダの行程に、制限時間も警報もない。
- 空気や電気を失ったときの安全側を考えずに弁を選ぶ。
- 単動と複動を区別しないまま順序を設計する。
チェックリスト
- [ ] 単安定か双安定か、ポートの構成、単動か複動かを把握した。
- [ ] シリンダごとに、リスクアセスメントから安全側の位置を決めた。
- [ ] 動きを、指令ではなく端のセンサーで確かめている。
- [ ] 行程の制限時間が、機器の名前を挙げた警報につながる。
- [ ] 空気や電気を失ったあとのふるまいを決め、試験した。
先に回路を読むことが、理屈を正直に保つ。次の #73 では、温度、圧力、液位を測る工程のセンサーに入る。
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