MINATAと学ぶオートメーション #77:制御系ネットワークの分離 — 被害の広がりを抑え、保全できる形に保つ
制御系ネットワークの分離:被害の広がりを抑え、保全できる形に保つ
制御系のネットワークを分けることは、図を整えるために区画をいくつか描き足すことではない。目的は、要らない通り道をなくし、何かが起きたときの広がりを抑え、それでも工場を保全できる形に保つことである。どの機器からもどの機器も見える平らなネットワークは、小さな出来事が工場全体へ広がる場所になる。
棚卸しから始める
知らないものは分けられない。棚卸しをつくる。PLC、HMI、インバータ、集線装置、ゲートウェイ、遠隔の接続点、計算機。そして、それぞれが使う手順、口番号、持ち主、機器どうしのデータの流れ。この本当の姿が見えて初めて、意味のある区画と通り道を決められる。
区画、通り道、そして「要るものだけを通す」
ネットワークを 区画 に分ける。役割と信頼の度合いが同じ機器の集まりである。そして管理された 通り道 でつなぐ。防火壁の決まりは、広く開けてから絞るのではなく、「要るものだけを通す」に従う。この区画と通り道の考え方は、IEC 62443のような産業の指針が語っていることでもある。
情報系と制御系を分けることは、データを禁じることではない
情報系と制御系を分けることは、データが行き来してはならないという意味ではない。監視の仕組み、履歴の保管、生産管理、OPC UA、MQTT。どれも 意図された 通り道を必要とする。中継の一点を通り、記録が残る形で。避けるべきなのは、何もかもが自由に話すこと。あるいは、試運転のとき便利だったからと、業者が遠隔でPLCの区画へ直に入ってくることである。
参考になる現場の一場面
ある工場では、機械の区画、制御のネットワーク、監視のネットワークを別々の区画に分けている。履歴を保管する仕組みへのデータは、決まりのはっきりした中継の一点を通る。ある区画の機器がネットワークの不具合を起こしても、影響はその区画の中にとどまり、敷地全体へは広がらない。業者の遠隔の支援は、管理された接続点から入る。PLCの区画へ直にではない。
区画と通り道の構成、そして通す決まりは、安全上のリスクの評価と組織の方針に従う。
よくある間違い
- 棚卸しと流れの地図がないまま分け始める。
- どの機器からもどの機器も見える、平らなネットワーク。
- 広く開けてから絞る。要るものだけを通す、の逆をやる。
- 意図した通り道を開ける代わりに、行き来を一切禁じる。
- 業者の遠隔の接続を、PLCの区画へ直に着地させる。
チェックリスト
- [ ] 機器、手順、口番号、持ち主、データの流れの棚卸しがある。
- [ ] 役割と信頼の度合いで区画に分け、通り道でつないでいる。
- [ ] 防火壁の決まりが「要るものだけ」で、記録が残る。
- [ ] 情報系と制御系のつながりが、意図された中継の一点を通る。
- [ ] 遠隔の接続が、PLCの区画へ直に着地しない。
意図をもって分けることが、被害を抑え、運用も楽にする。次の #78 では保全のための遠隔接続に入る。離れた場所から支えながら、権限と証跡を保つ話である。
MINATAで自動化の知識をもっと読む:https://minatavn.com/ja/blog/industrial-automation
前の記事 — #76:産業用IoTのMQTT:https://minatavn.com/ja/blog/automation-76-mqtt-industrial-iiot-ja
次の記事 — #78:保全のための遠隔接続:https://minatavn.com/ja/blog/automation-78-remote-access-maintenance-ja
MINATAの技術記事をすべて見る