機械設計 #100:回転軸の振れ — 機械が動くと複合誤差が現れる
回転軸の振れは境界が変わっても機能、製造、検査、費用、保全を守らなければならない。
数値より先に機能
幾何値、粗さ、はめあいを決める前に、入力、期待結果、合否限界、故障症状、測定方法を書く。全ての値と変更に担当を付ける。
基本チェック
- 半径方向および軸方向の振れが機能へ及ぼす影響: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- データム、段取り、指示計を当てる方向: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 回転速度、釣合い、合成された誤差: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 軸受、軸継手、組立が寄与する分: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 測定の再現性と不確かさ: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 合否基準、修正、使用限界: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
| 故障モード | 症状 | 確認 |
|---|
| 機能が未定義 | 過剰公差または機能不足 | 機能スタックを再構築 |
| 基準が実在しない | 検査と組立が不一致 | 実治具で試す |
| 文書が不一致 | 数値は正しいが改訂違い | 全資料を基準化 |
回転軸でよく混同される四つの要求
次の四つの記号はよく似て見えますが、管理しているものは四つとも違います。取り違えると、本当の不具合を捕ま えられないか、必要以上に現場を苦しめるかのどちらかになります。
| 要求 | データムが必要か | 何を捕まえるか | 何を捕まえられないか |
|---|
| 真円度 | 不要 | 各断面が円かどうかを、断面ごとに見る | 回転軸に対する偏心、テーパ、曲がり |
| 円筒度 | 不要 | 真円かつまっすぐで、全長にテーパがないこと | データムに対する偏心 |
| 円周振れ | 必要 | 真円度の誤差と偏心の合成を、断面ごとに見る | 長手方向のずれ(テーパ、曲がり) |
| 全振れ | 必要 | 真円度、偏心、テーパ、曲がりを面全体で合成して見る | — |
覚えておく点は、真円度にデータムは要らず、振れには必ず要るということです。断面が完全な円である軸でも、 その中心が回転軸からずれていれば大きく振れます。逆に振れが合格していれば真円度もたいてい問題ないため、一般 的な機械部品では振れを指示するほうが十分で、測定も容易です。
振れが現場に向く理由
振れは複数の種類の誤差を、ダイヤルゲージ一つで読める一つの数値にまとめます。データムに部品を据え、一回 転させ、針の最高と最低の差を読むだけです。三次元測定機も専用の処理も要りません。軸、段の面、回転する密封面 にとって最も実用的な要求である理由がここにあります。
| 種類 | 段取りの仕方 | 何を読むか |
|---|
| 半径方向の振れ | 円筒面に直角にゲージを当て、データムを軸にして回す | 一回転での最大の差。一つの断面で見る |
| 端面の振れ | 端面にゲージを当てて回す | 端面の軸方向の振れ |
| 全振れ | 回しながらゲージを長手方向に走らせる | 面全体での最大の差 |
回転のデータムを正しく選ぶ
測定値に意味があるかどうかを決める箇所です。データムは、軸が実際に運転中に回っている面にします。多くは 二つの軸受のはめあい部で、その二面の共通データムとして宣言します。
よく使う三つの段取りと、その限界です。
- 二つの軸受はめあい部にVブロックを当てる — 二点支持の軸にとって最も実態に近い方法です。
- 両センタ間で支える — 便利ですが、センタ穴が機能上のデータムである場合に限って正しくなります。打痕や
汚れのあるセンタ穴では、その時点で測定値が狂います。
- 片端をチャックでつかむ — 速い代わりにチャック自身の誤差が結果へ入ります。工程内の簡易確認に使い、受
入判定には使いません。
データムを書かずに振れだけを指示することは、測れない要求を書くことです。測る人が段取りを自分で選び、人ごと に違う選び方をするため、測るたびに違う数値が出ます。
円周振れと全振れ:測り方が違います
二つの振れ記号はよく一つに扱われますが、別のものを検査します。
- 円周振れ:軸を回し、固定した一つの断面で指示器を読みます。その断面の真円からの外れと
偏心を合わせて見ますが、軸方向の形については何も言いません。
- 全振れ:軸を回しながら、指示器を円筒面全体に沿って移動させます。テーパ、曲がり、全長の
輪郭が加わり、はるかに厳しくなります。
一つの断面だけが振れずに回ればよいとき(シール座)は円周振れを、全長が同軸でなければならないとき (長い軸受座、シールするフランジ面)は全振れを選びます。
段取りが、測れる値を決めます
振れは必ずデータムに対して測るので、段取りを誤ると値も誤ります。
| 段取り | 実際のデータム | 適する場合 |
|---|
| 二つのセンタ間 | 両端センタ穴の軸 | センタ間で加工し、センタ穴が残る軸 |
| Vブロック上 | Vに載る円筒面 | センタ穴がなく、ジャーナルがデータムの軸 |
| 二つの軸受ジャーナル(データムA-B) | 二つの軸受座の軸 | 実使用で軸受に載る状態のまま測る |
データムを図面に記します(ふつう二つの軸受ジャーナル、A-Bと表示)。同じ軸でも、センタ間で測るのと ジャーナルで測るのとで、違う値が出ることがあるからです。
動釣り合いは振れではありません
振れが合格の軸でも、質量の不釣り合いで振動することがあります。回転軸から外れた位置に質量が 分布している状態です。振れは低速回転で測る幾何的な誤差、釣り合いは質量分布で、速度が上がって初めて 現れます。高速で回る軸は両方が要ります。振れが公差内で振れずに回り、釣り合いが公差内で速度とともに 揺れないことです。
MINATA発行チェック
- [ ] 機能、境界、故障症状を記載した。
- [ ] 基準、責任、工程、誤操作防止が明確である。
- [ ] 六項目に証拠と合否限界がある。
- [ ] 製造、組立、検査、保全を実機で試した。
- [ ] 改訂、サプライヤー、材料、構成記録が一致する。
良い設計は、製造、運転、保全、変更を通過する前提の連鎖である。回転軸の振れでは、形状と機能が信頼できる証拠を残すことがMINATAの基準である。
よくある質問
真円度と振れは何が違いますか
真円度は各断面を単独で見るもので、データムを必要としません。その断面が円かどうかだけを言います。振れは データムを必要とし、真円度の誤差と、回転軸に対する偏心を合わせて見ます。完全な円でも偏心していれば大き く振れます。
円周振れではなく全振れが必要になるのはいつですか
長手方向のずれも重要なとき、つまり軸にテーパや曲がりがあるときです。円周振れは断面ごとにしか見ないためテー パを捕まえられません。全振れは回しながら面全体を走査するため、軸方向の形状まで管理できます。
振れの測定にはどんな機器が要りますか
ダイヤルゲージ一つと、データムに合った正しい段取りです。それが他の幾何公差に対する振れの利点です。複数の誤 差を一つの数値にまとめ、三次元測定機なしに現場で読めます。
両センタ間で測ってもよいですか
センタ穴が本当に機能上のデータムであり、清浄で打痕もない場合に限り、測れます。二つの軸受で運転する軸では、 正しいデータムは二つの軸受はめあい部です。その二面にVブロックを当てて測って初めて、運転状態を反映します。
振れを書いてデータムを書き忘れたら
測れない要求になります。測る人が段取りを自分で選び、人ごとに選び方が違い、測るたびに違う数値が出ます。デー タムのない振れには意味がありません。
よくある質問(続き)
円周振れと全振れは何が違いますか。
円周振れは、軸を回しながら固定した一断面で読み、その断面の真円度と偏心を合わせて見ます。全振れは 回しながら指示器を全面に沿って動かし、テーパ、曲がり、全長の輪郭を加えます——より厳しい要求です。
振れはセンタ間で測りますか、軸受ジャーナルで測りますか。
図面のデータムに従います。機能が軸受に載る軸なら、二つのジャーナル(データムA-B)で測るのが実使用 状態に合います。センタ間で測るとデータムが違うので、別の値が出ます。
軸は振れ公差内なのに振動します。なぜですか。
振れではなく、質量の不釣り合いかもしれません。振れは低速で測る幾何的誤差、釣り合いは質量分布で、 速度が上がって初めて現れます。高速で回る軸は両方を満たす必要があります。
まとめ
回転軸の振れは、書類を整えるための手続きではない。設計意図を、繰り返し製作でき、組み立てられ、測定できる結果へ変えるための手段である。良い図面は、設計者がそばで説明しなくても伝わる。情報の構成そのものがその役割を果たさなければならない。
現場のための早見表
振れは、状況・測り方・目的を対応づけると決めやすくなります。
| 状況 | 測り方・制御の仕方 | 目的 |
|---|
| 半径方向の振れ | 軸の基準まわりに回して測る | 円筒面のばらつきを抑える |
| 端面の振れ | 端面にダイヤルを当てる | 軸方向の首振りを抑える |
| 全振れ | 回しながら面全体を走査する | 形状と向きをまとめて抑える |
実際の場面
直径が正しくても、面の中心が軸受の基準からずれていれば振れます。振れの指示は、回す基準と取り付けの状態を明示しなければなりません。センタ間で測るのと、軸受のジャーナルで測るのとは違います。
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