機械設計 #101:真直度と平面度 — 寸法で幾何公差を代用しない
真直度と平面度は境界が変わっても機能、製造、検査、費用、保全を守らなければならない。
数値より先に機能
幾何値、粗さ、はめあいを決める前に、入力、期待結果、合否限界、故障症状、測定方法を書く。全ての値と変更に担当を付ける。
基本チェック
- 真直度または平面度が守っている機能: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- データム、支持、支点間距離、測定方法: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 温度、自重、治具の影響: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 加工、応力除去、変形: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 検査の不確かさと、成績書の様式: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 修正、手直し、合否限界: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
| 故障モード | 症状 | 確認 |
|---|
| 機能が未定義 | 過剰公差または機能不足 | 機能スタックを再構築 |
| 基準が実在しない | 検査と組立が不一致 | 実治具で試す |
| 文書が不一致 | 数値は正しいが改訂違い | 全資料を基準化 |
真直度と平面度の公差域はどんな形か
この二つは形状の仲間です。面そのものを管理し、どのデータムとも比べません。公差域を理解することは、測 り方を理解することでもあります。
| 要求 | 公差域 | 適用先 |
|---|
| 線の真直度 | 一定の間隔をあけた二本の平行な直線。その線を含む平面内で考える | 円筒面や平面上の各線要素 |
| 軸線の真直度 | 記入した数値を直径とする円筒。部品の実際の軸線を含む | 寸法をもつ形体(穴、ピン)の軸線 |
| 平面度 | 一定の間隔をあけた二つの平行な平面。実際の面全体を包む | 面全体。線ごとには見ない |
二種類の真直度の違いはよく見落とされます。記号が面ではなく直径の寸法線に付いているとき、それは軸線に 適用され、公差域は円筒になります。バナナのように曲がった軸は、線の真直度に合格しても軸線の真直度で外れま す。しかも組み付かなくするのは後者のほうです。
現場での測り方
| 要求 | 実際の測り方 | 落とし穴 |
|---|
| 大きな面の平面度 | 定盤とダイヤルゲージの走査、または直定規と光 | 測定中に部品を締め付けると、見かけ上平らになる |
| 小さな面の平面度 | 定盤と光明丹で当たりの分布を見る | 光明丹は分布を示すだけで、数値は出ない |
| 長い軸の真直度 | Vブロック二つとダイヤルゲージ、張った線、または測定機 | 二点で支えると、部品自身の重さでたわむ |
長くて細い部品には測定時の姿勢を明記します。寝かせるか立てるかで結果が違うためで、原因は部品自身の重 さによるたわみです。書かなければ双方が別の姿勢で測り、どちらも正しいまま議論になります。
寸法公差との関係
包絡の条件のもとでは、寸法をもつ形体の寸法公差がすでに形状の一部を管理しています。部品は最大実体状態 での理想的な包絡面をはみ出せません。つまり寸法公差が十分に厳しければ、真直度を別に書く必要がないこともあ ります。
別に書く意味があるのは、寸法公差が暗に定めている水準より厳しくしたいときだけです。たとえば直径の公差 は緩くてよいが、長いブシュの中を滑るために非常にまっすぐである必要がある軸などです。寸法公差がすでに管理 している水準より緩い形状の要求を書くことは、何の働きもしない余分な記入です。
真直度と平面度は形の管理で、データムを参照しません
位置度や平行度と違い、真直度と平面度はデータムを必要としません。面や線それ自体が正しい形か だけを言い、部品に対してどこにあるかは問いません。だから図面には、この二つにデータム記号(A、B)を 付けません。固定した原点に治具で合わせなくても測れるのは、このためです。
平面度の測り方:定盤と指示器
現場の一般的な方法です。
- 部品を定盤(平らな基準面)に載せ、ダイヤルゲージを全面に走らせ、最も高い点と低い点を記録します。
その差が平面度です。ただし全体の傾きを除くよう(三点で)着座させておきます。
- 大きな面は格子状に走査し、高さの分布図を作って、反り、山、へこみの場所を見ます。
三面すり合わせ:平らな基準がまだ無いときに平らを作る
比べる平らな面がまだ無いときに基準の平面を作るには、三面すり合わせを使います。三枚の板を 対(A-B、B-C、A-C)ですり合わせます。一組だけをすり合わせると二面が凸と凹で釣り合ってしまいますが、 三組を順に回すと、三枚すべてが本当に平らなときにだけ、どの組も合います。精密加工の現場が元となる 定盤を作り出す方法です。
真直度:面上の線か、軸線か
真直度には二種類あり、測り方が異なります。
- 面上の線:直定規を当てるか指示器を一つの線に沿って走らせ、理想の直線からの外れを測ります。
- 軸や穴の軸線:長さ方向に中心を回すか探って測り、軸線が円筒の公差内に収まるかを見ます。この
種類はⓂ記号を伴い、最大実体条件とともに使われることが多いです。
MINATA発行チェック
- [ ] 機能、境界、故障症状を記載した。
- [ ] 基準、責任、工程、誤操作防止が明確である。
- [ ] 六項目に証拠と合否限界がある。
- [ ] 製造、組立、検査、保全を実機で試した。
- [ ] 改訂、サプライヤー、材料、構成記録が一致する。
良い設計は、製造、運転、保全、変更を通過する前提の連鎖である。真直度と平面度では、形状と機能が信頼できる証拠を残すことがMINATAの基準である。
よくある質問
真直度と平面度にデータムは必要ですか
不要です。どちらも形状の仲間で、面そのものを管理し、ほかの形体との関係は見ません。「A面に対してまっすぐ」 と書きたくなったなら、必要なのは真直度ではなく平行度か直角度です。
真直度の記号を面に付けるのと寸法線に付けるのはどう違いますか
面に付ければ各線要素に適用され、公差域は二本の平行な直線です。直径の寸法線に付ければ軸線に適用され、 公差域は円筒になります。バナナのように曲がった軸は、前者に合格して後者で外れます。
平面度を測るとき部品を締め付けてよいですか
締め付けた状態が使用状態でない限り、いけません。締め付ければ見かけ上平らになり、自由な状態の形状を表しま せん。薄い部品では、自由な状態で測るのか取り付けた状態で測るのかを明記します。
すべての軸に真直度を書きますか
書きません。包絡の条件のもとで、寸法公差がすでに形状の一部を管理しています。それより厳しくする必要がある ときだけ追加します。たとえば直径の公差は緩くてよいが、長いブシュの中を滑るために非常にまっすぐである必要 がある軸です。
長い部品は寝かせて測りますか、立てて測りますか
図面に明記します。部品自身の重さでたわむため、二つの姿勢で結果が変わります。長い部品の検査で、現場と検査 の間に起きる典型的な議論の元です。
よくある質問(続き)
なぜ真直度と平面度にはデータムが無いのですか。
形の管理だからです。線や面それ自体が正しい形かだけを言い、原点との関係は問いません。データムが要る のは、平行度、直角度、位置度のような、関係を管理する項目だけです。
現場で平面度はどう測りますか。
定盤に載せ、全体の傾きを除くよう三点で着座させ、ダイヤルゲージを面に走らせます。最も高い点と低い点 の差が平面度です。大きな面は格子状に走査し、高さの分布図を作ります。
三面すり合わせは何のためですか。
比べる平らな面がまだ無いときに、基準の平面を作るためです。三枚を三組すべてですり合わせて回すと、 三枚すべてが本当に平らなときにだけ、どの組も合います。元となる定盤を作る方法です。
まとめ
真直度と平面度は、書類を整えるための手続きではない。設計意図を、繰り返し製作でき、組み立てられ、測定できる結果へ変えるための手段である。良い図面は、設計者がそばで説明しなくても伝わる。情報の構成そのものがその役割を果たさなければならない。
現場のための早見表
真直度と平面度は、状況・与え方・目的を対応づけると決めやすくなります。
| 状況 | 与え方・制御の仕方 | 目的 |
|---|
| 線の真直度 | 外部の基準は不要 | 一つの線要素を制御する |
| 導出軸の真直度 | 寸法特徴に適用する | 軸を公差域に収める |
| 平面度 | 面を挟む二つの平行平面 | 安定した当たりを保証する |
実際の場面
厚さの公差は、面の平らさを保証しません。板は厚さのどの測定点でも合っていながら、一様に反っていることがあります。機能が機械テーブルへ安定して載ることなら、平面度を別に指示します。同じように、まっすぐさが要る長い部品では、両端だけを測って中央のたわみを見落とすと、実際に働く場面で不安定になります。真直度は測る区間と支持の仕方をあわせて指示し、平面度は面全体を挟む二平面で判断します。平面度を測るときは支持の点を決めておかないと、置き方によってたわみが変わり、同じ面でも違う値が出てしまいます。細長い定盤や取り付けレールでは、真直度がわずかに崩れるだけで、端に載る部品の位置が無視できないほどずれます。だから機能に効く方向を見きわめ、その一方向の真直度を指示するのが実務的です。面の線としての真直度は外部の基準を要りませんが、導出した軸の真直度は寸法特徴に結び付けて初めて意味を持ちます。
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