機械設計 #102:平行度と直角度 — 機構が必要とするのは関係である
平行度と直角度は境界が変わっても機能、製造、検査、費用、保全を守らなければならない。
数値より先に機能
幾何値、粗さ、はめあいを決める前に、入力、期待結果、合否限界、故障症状、測定方法を書く。全ての値と変更に担当を付ける。
基本チェック
- 機能上の関係と、データムの優先順位: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 運動、すきま、力の伝わり方: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 公差の積み上げと姿勢: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 加工の順序と、治具の安定性: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 検査の段取りと不確かさ: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
- 組立、調整、使用限界: 値、出典、方法、担当、合否の証拠を記録する。
| 故障モード | 症状 | 確認 |
|---|
| 機能が未定義 | 過剰公差または機能不足 | 機能スタックを再構築 |
| 基準が実在しない | 検査と組立が不一致 | 実治具で試す |
| 文書が不一致 | 数値は正しいが改訂違い | 全資料を基準化 |
姿勢の仲間:角度を管理し、位置は管理しません
平行度、直角度、傾斜度は姿勢の仲間です。三つともデータムを必要とし、三つとも角度だけを管理します。 形体がどこにあるかは管理しません。
| 要求 | 管理するもの | 管理しないもの |
|---|
| 平行度 | 面や軸線がデータムに対して0度を保つこと | データムまでの距離。それは寸法公差の仕事 |
| 直角度 | データムに対して90度を保つこと | その面のデータムに沿った位置 |
| 傾斜度 | 指定した角度を保つこと | 位置 |
よくある誤解がここです。平行度0.05と書いても、二つの面の間隔が特定の値になるという意味ではありません。 間隔は寸法公差が決めます。平行度は、評価する長さの中で二つの面が0.05より大きく開いてはならない、と言って いるだけです。
評価する長さが数値を決めます
同じ部品、同じ角度のずれでも、短い区間で測れば小さな数値、長い区間で測れば大きな数値になります。ずれが長 さとともに積み上がるからです。したがって姿勢の要求は、どの長さに適用するのかが分かって初めて意味を持 ちます。
| 書き方 | 意味 |
|---|
| 範囲を書かずに数値だけ | 面の全長に適用する |
| 局部的な範囲を併記する | その長さのどの区間にも適用する |
| 両方を書く | 全体のずれを抑えつつ、局部的な急な折れも防ぐ |
三つ目の書き方は長い摺動面に向きます。全体は価格が跳ねないよう緩めに許し、しかしどの短い区間も急に折れる ことは許さない、という指示です。かじりを起こすのはその折れだからです。
評価する長さは組付けの機能で選びます
原則は、評価する長さを実際に組付けに関わる長さと等しくし、部品全体の長さにしないことです。長さ800ミリ メートルの板でも、相手部品に触れているのが中央の200ミリメートルだけなら、平面度と平行度はその200ミリメー トルに適用します。800ミリメートル全体に適用することは、誰も使わない場所の精度を現場に求めることです。
姿勢の要求は形状も同時に管理します
あまり知られていない関係です。姿勢の要求は、同じ水準で形状も自動的に管理します。平行度が0.05なら、そ の面の平面度も0.05より悪くなれません。平行度の公差域は二つの平行な平面であり、実際の面はその中に完全に収 まらなければならないからです。
実務上の帰結です。同じ面に平面度0.1と平行度0.05を併記することは余分な記入です。緩いほうの平面度は何の 働きもしません。意味を持たせるなら、平面度を平行度より厳しくする必要があります。
平行度と直角度では、データムがすべてです
真直度や平面度と違い、平行度と直角度は必ずデータムを要します。ある面の角度を別の面に対して測る からです。何に対して平行かを言わずに「平行」と記すのは、言い切っていない文です。
- 公差域はデータムに従う:平行度の公差域は、データムに平行で公差値ぶん離れた二つの平面です。
域はデータムとともに動きます。面がどこにあるかは問わず、データムに対してその域を超えて傾かないか だけを見ます。
- データムを変えれば結果も変わる:同じ面でも、データムAに平行で測るかBに平行で測るかで、違う値
が出ます。部品が実使用で実際に着座する面をデータムに選びます。
接平面:うねりに合わせて測らない
わずかに反った面の平行度や直角度を見るときは、面のうねり一点ずつではなく、接平面——面の最も高い 山に載る理想平面——に対して測ります。実際の組立でも部品は高い点に載るからです。山に対して測ると、 組立での着座の仕方に合い、わずかに波打つだけの面を不当に不合格にせずに済みます。
位置度との関係
面や穴は、位置度で管理しつつ、さらに厳しい姿勢で追い込むことができます。
- 位置度はすでに位置の誤差と傾きの両方を含みます。機能が位置度の許すより小さい傾きを要するなら、
角度だけを追い込むためにより小さい直角度や平行度を加えます。
- 姿勢公差は位置度より小さくなければ意味を持ちません。等しいか大きく記すのは無駄です。
MINATA発行チェック
- [ ] 機能、境界、故障症状を記載した。
- [ ] 基準、責任、工程、誤操作防止が明確である。
- [ ] 六項目に証拠と合否限界がある。
- [ ] 製造、組立、検査、保全を実機で試した。
- [ ] 改訂、サプライヤー、材料、構成記録が一致する。
良い設計は、製造、運転、保全、変更を通過する前提の連鎖である。平行度と直角度では、形状と機能が信頼できる証拠を残すことがMINATAの基準である。
よくある質問
平行度は二つの面の間隔を管理しますか
しません。管理するのは角度だけで、評価する長さの中で二つの面が記入値より大きく開いてはならない、という意 味です。間隔は寸法公差が決めます。姿勢の仲間について最も多い誤解です。
評価する長さをなぜ書く必要がありますか
同じ角度のずれでも、測る区間の長短で数値が変わるためです。ずれは長さとともに積み上がります。範囲を書かな ければ面の全長に適用され、長い部品では意図よりはるかに高価な要求になり得ます。
長い部品で一部だけが組付けに関わる場合は
その区間だけに要求を適用し、部品全体には適用しません。何も触れない場所の精度を現場に求めることは、機能を 増やさずに価格を上げる方法です。
一つの面に平面度と平行度の両方を書いてよいですか
書けますが、意味を持つのは平面度が平行度より厳しいときだけです。姿勢の要求が同じ水準で形状も管理して いるため、緩いほうの平面度は余分な記入になります。
傾斜度はいつ使いますか
面がデータムに対して0度でも90度でもない角度を保つ必要があるときです。読み方も評価する長さの選び方も平行度 や直角度とまったく同じで、違うのは理論上の角度だけです。その角度は理論的に正確な寸法で書きます。
よくある質問(続き)
データムを記さずに「平行」と記してよいですか。
意味をなしません。平行度と直角度は必ずデータムに対して測るので、何に対して平行・直角か(データムA、 B)を示さねばなりません。部品が実使用で実際に着座する面をデータムに選びます。
わずかに反った面の姿勢はどこに対して測りますか。
接平面——面の最も高い山に載る理想平面——に対してです。実際の組立でも部品は高い点に載ります。うねり 一点ずつに合わせて測ると、わずかに波打つだけで着座は良好な面を不当に不合格にしてしまいます。
すでに位置度があるなら、直角度も要りますか。
位置度が許すより厳しい角度が機能に要るときだけです。位置度はすでに傾きを含みます。角度だけを追い 込むには、位置度より小さい直角度・平行度を加えます。等しいか大きく記すのは無駄です。
まとめ
平行度と直角度は、書類を整えるための手続きではない。設計意図を、繰り返し製作でき、組み立てられ、測定できる結果へ変えるための手段である。良い図面は、設計者がそばで説明しなくても伝わる。情報の構成そのものがその役割を果たさなければならない。
現場のための早見表
平行度と直角度は、状況・基準の取り方・目的を対応づけると決めやすくなります。
| 状況 | 基準の取り方・制御の仕方 | 目的 |
|---|
| すべり面の平行 | 取り付けの基準面を参照する | 行程中の噛みを減らす |
| 軸の直角 | 回転軸か据付面を参照する | 偏った荷重を減らす |
| 検査 | 代表できる十分な測定長を選ぶ | 短すぎる区間で結論しない |
実際の場面
二つの面がともに平らでも、平行とは限りません。案内レールでは、レール取り付け面と機械の基準面との関係が運動を決めます。だから姿勢公差は、正しい基準に結び付けなければなりません。直角度も同じで、どの軸や面を基準にするかを決めずに「直角」と書くだけでは、検査で何を当てればよいか定まりません。測定長も、代表できる範囲を選ばないと、短い区間ではよく見えても全体では偏っている、という結論の取り違えが起きます。
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