機械設計 #83:計画図と組立図 — 図面の種類ごとに答える問いが違う
計画図と組立図は境界が変わっても読め、作れ、検査でき、保全でき、安全でなければならない。
機能から始める
投影、記号、形状、注記を決める前に、入力状態、期待結果、許容限界、故障症状、測定方法を書く。不明点を大きな係数に隠さず、担当と試験を決める。
基本チェック
- 目的、読み手、支援する判断: 目的、読み手、支援する判断を先に決める。それによって、その図面に何を載せるかが決まる。
- 外形、データム、接続条件の定義: 外形、データム、ライン側との接続条件を定義する。計画図はそのために存在する。
- 組立の順序、締結部品、保守空間: 最終位置だけでなく、組立の順序、締結部品、手と工具が入る空間を示す。
- 部品表、部品、改訂、構成: 部品表、改訂、構成は、それを持つべき図面に置く。複数の図面に分散させない。
- 検査の要点と、合否の証拠: 組立時に検査する箇所を示し、何をもって合格とするかを書く。
- 部品図および作業手順への相互参照: 部品図や作業手順の内容を書き写さず、参照として示す。
故障モード
| 故障モード | 症状 | 確認 |
|---|
| 意味が曖昧 | 加工・検査が違う | 規格と証拠を確認 |
| 接点を省略 | 組立・保全で誤り | 実工程を確認 |
| 文書が不一致 | 名称は正しいが改訂違い | 全資料を基準化 |
図面は四種類あり、それぞれ別の問いに答えます
すべてを一枚にまとめると効率がよさそうに見えますが、実際にはどの読み手にとっても不足と過剰が同時に 起きる図面になります。書類の種類ごとに答える問いが違います。
| 種類 | 日本語 | 答える問い | 主な読み手 |
|---|
| 配置図、計画図 | 計画図・レイアウト図 | 機械をどこに置き、どれだけ場所を取り、何につなぐか | 顧客、工場部門、据付担当 |
| 組立図 | 組立図 | 部品をどう、どの順序で組み合わせるか | 組立担当、保全 |
| 部品図 | 部品図 | この部品をどう作り、公差はいくつか | 加工現場、検査 |
| 部品表 | 部品表 | 何を買い、何を作り、数量はいくつか | 調達、倉庫、生産計画 |
どの情報がどの図面に属するか
「これはどこに書くのか」という議論の大半は、この表で解決します。
| 情報 | 属する図面 |
|---|
| 外形寸法、作業高さ、壁までの距離 | 配置図 |
| 電源、圧縮空気、水、排熱の接続点 | 配置図 |
| 保全のための空間、扉の開く向き、部品を抜く方向 | 配置図 |
| 部品表に対応する品番、風船状の引出符号 | 組立図 |
| 組立順序、締付トルク、ねじ緩み止め剤の種類 | 組立図 |
| 組立すきま、組立後の調整、組立後の確認寸法 | 組立図 |
| 寸法公差と幾何公差、データム | 部品図 |
| 材料、質別、硬さ、表面処理 | 部品図 |
| 表面粗さ、加工の注記、隅の丸み | 部品図 |
すべてを一枚にまとめない理由
形式ではなく、実務上の理由が三つあります。
- 読み手が違う。 組立担当に穴のH7公差は不要であり、加工現場にボルトの締付順序は不要です。余分な
情報は、必要な情報の見落としを招きます。
- 改訂の周期が違う。 配置は顧客が機械の位置を変えれば変わり、部品図は加工方法が変われば変わりま
す。まとめてしまうと、変更のたびに全部を再発行することになります。
- 責任の所在が違う。 種類ごとに承認する人が違います。まとめてしまうと、問題が起きたときに誰がど
の部分に責任を持つのかが不明確になります。
一つの特徴の機能寸法は、ただ一か所にだけ持たせます。「参照しやすいから」と組立図にも同じ寸法を書 くことは、真実の出所を二つ作ることであり、改訂のときに食い違います。
引出符号:描いた順ではなく規則で番号を付ける
引出符号は品番を入れた丸で、引出線で図の上の部品につなぎます。読む人が先を予測できる規則で番 号を付けて初めて役に立ちます。
| 規則 | 具体的には |
|---|
| 一つの部品番号に一つの番号 | 同じ部品が何か所に出てきても同じ番号のまま |
| 組立順または小組ごとに付ける | 描いた人がたまたま指した順に付けない |
| 図の周りを一方向に回して並べる | 番号が増える向きに回すと追いやすい |
| 引出線は部品を指す。空白を指さない | 引出線の先は部品の上で、点または矢印を付ける |
| 交差させない。寸法の上に重ねない | 交差した引出符号は、読む人に別の部品をたどらせる |
同じ継手のボルト、ナット、座金のように小さな部品がまとまっている場合は、三本の引出線を競わせ ず、一か所を指す段重ねの引出符号にまとめられます。
部品表:最低限の六つの欄
| 欄 | 省けない理由 |
|---|
| 品番 | 引出符号の番号そのもの。無いと表と図がつながらない |
| 部品番号または購入品番号 | 実際に発注し、倉庫で探すときに使うもの |
| 部品名称 | 部品図を開かなくても役割が分かる |
| 数量 | 欠けると発注が不足し、組立の最中に発覚する |
| 材料または仕様 | 製作品は材料、購入品は仕様 |
| 備考 | 強度区分、締付トルク、「共加工」などを書く場所 |
読む向きは通常下から上で、品番1が表題欄の隣に来ます。この慣例には理由があります。部品を追 加したとき、表が上へ伸びるだけで全体を描き直さずに済むからです。
実際に事故になる部品表の三つの誤り
- 数量が図と合わない。 引出符号5が図に四か所あるのに、表には数量2と書いてある。調達は表を
信じ、組立は図を信じ、組立の最中に二個足りません。
- 図にあるのに表にない部品。 多くは後の改訂で追加した小さな部品です。図には描いたが、表の
行を忘れた。結果としてその部品は一度も発注されません。
- 一つの番号を二つの別物に使う。 部品を直したのに番号をそのままにしたときに起きます。倉庫
は組み付かないものを出し、しかも双方とも「番号は正しい」のです。
手早い確認方法があります。図の上で品番ごとに引出符号の数を数え、数量の欄と比べることです。発 行のたびに数分でできる機械的な確認で、上の三つをすべて捕まえられます。
MINATA発行チェック
- [ ] 機能、境界、故障症状を記載した。
- [ ] 基準、責任、誤操作防止が明確である。
- [ ] 六項目に証拠と合否限界がある。
- [ ] 製造、組立、検査、保全を実機で試した。
- [ ] 改訂、サプライヤー、構成記録が一致する。
良い設計は、製造、運転、保全、変更を通過する前提の連鎖である。計画図と組立図では、結果が継続する証拠を残すことがMINATAの基準である。
よくある質問
組立図に公差を書きますか
組立後の状態に関する公差だけを書きます。達成すべきすきま、組立後の確認寸法、組立体として許される 振れなどです。個々の部品の製作公差は部品図に属し、ここでは繰り返しません。
小さな機械でも配置図を別に作りますか
顧客のラインへ入る機械なら作ります。配置図は、顧客と工場部門が設置位置、用役の経路、保全空間を承認す るために使う図面です。この三つは詳細設計を始める前に決まる事項です。
念のため組立図と部品図の両方に寸法を書いてもよいですか
よくありません。一つの寸法に真実の出所が二つあると、改訂のたびに両方を直す必要があり、遅かれ早かれ片 方だけ直す回が来ます。機能寸法は、それに責任を持つ図面に一度だけ書きます。
組立順序は必ず書きますか
順序が結果に影響する場合は必ず書きます。先に入れないと組めない部品、ゆがみを防ぐために順番に締める継 手、カバーを閉じる前に済ませる調整などです。書かなければ組立担当が自分で決め、機械ごとに違う結果にな ります。
よくある質問(続き)
引出符号の番号はどんな順序で付けますか
組立順または小組ごとに付け、図の周りを一方向に回して並べます。描いた人がたまたま指した順に付 けると、論理のない部品表ができます。
同じ部品が複数の位置にある場合、番号はいくつ付けますか
一つだけです。数量の欄に合計を書きます。同じ部品番号に複数の番号を付けると、部品表がふくらみ、 同じものを二度発注する機会を作ります。
部品表は上から読みますか、下から読みますか
通常は下から上で、品番1が表題欄の隣です。部品を追加したときに表が上へ伸びるだけで済み、全体を 並べ直さなくてよいためです。
同じ継手のボルト、ナット、座金はどう引き出しますか
三本の引出線を競わせず、一か所を指す段重ねの引出符号にまとめます。部品表には、それぞれの数量を 持つ三行を分けて記載します。
部品表の誤りを捕まえる確認方法はありますか
あります。図の上で品番ごとに引出符号の数を数え、数量の欄と比べる、という機械的な方法です。数分 で終わり、最も多い三つの誤り、つまり数量の不一致、図にあるのに表にない部品、一つの番号を二つの 別物に使うこと、をすべて捕まえられます。
まとめ
計画図と組立図は、書類を整えるための手続きではない。設計意図を、繰り返し製作でき、組み立てられ、測定できる結果へ変えるための手段である。良い図面は、設計者がそばで説明しなくても伝わる。情報の構成そのものがその役割を果たさなければならない。
現場のための早見表
判断は、状況・示すもの・目的を具体的に対応づけると下しやすくなります。
| 状況 | 示すもの・制御の仕方 | 目的 |
|---|
| 計画図 | 空間、高さ、工場側との取り合い | 配置と工事の調整 |
| 組立図 | 部品の関係、部品番号、締付トルク | 組立と保全 |
| 部品図 | 製造と検査のための形状 | 加工、購買、受入検査 |
この表は、プロジェクトに適用される規格を置き換えるものではありません。「計画図と組立図」を、製造・組立・検査のときに答えられる問いへ変えるためのものです。
実際の場面
機械の据付脚の座標は、工場の床の基準とともに計画図に置くべきで、組立図から暗黙に読み取らせるべきではありません。配置は変わっても機械ユニットは変わらないとき、二つの図面はそれぞれ独立した改訂で直しますが、その履歴は追跡できなければなりません。
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