技術日本語 #03 — 日本の図面で数字・単位・寸法記号を読む(寸法・㎜・φ・R・C)
日本の図面で記号を一つ読み違えると、そのまま不良になります。「C1」(1mm の面取り)を半径と読み、角を落とさずに丸めてしまえば、その部品は終わりです。この回では毎日触れるところだけを扱います。日本の図面にある 数字・単位・寸法記号 です。
中核となる四つの寸法記号
| 記号 | 日本語 | 読み | 意味 | 落とし穴 |
|---|
| φ | 直径 | ちょっけい / まる / パイ | 直径(φ10 は ⌀10mm) | 丸い穴や軸を思い浮かべる |
| R | 半径 | はんけい / アール | 半径、隅の丸み(R5) | 丸める加工 |
| C | 面取り | めんとり / シー | 45°の面取り(C1 は 1mm) | 平らに落とす。R とは別物 |
| t | 板厚 | いたあつ | 板の厚さ(t2 / t=2) | 板金でよく出る |
もう二つ、見て分かるようにしておきたいもの。□20 は 20×20 の角材断面、M6 は呼び径6のメートルねじです。

単位と数字 — 書かれていないルール
- 既定の単位は ミリメートル。ふつう書かれません。「25」は 25mm です。センチやインチに 自分で換算しない こと。疑わしければ確認します。
- 単位が書かれるのはミリでないときだけ。角度には「°」が付きます。
- 数字そのものは国際共通なので、読むのは易しい。難しいのは 数字に付いている記号 のほうです。
- 参考寸法 は (25) のように かっこ で書かれます。目安であって、検査には使いません。
寸法とその周辺
寸法線、寸法補助線、基準寸法、そしてかっこ書きの参考寸法。寸法が固まれば、どの図面でも骨格が読めます。ベトナム人技術者に教えるときも、ここを最初の足場にすると早い。
公差の書き方
| 書き方 | 例 | 意味 |
|---|
| 対称 | 25 ±0.1 | 24.9 から 25.1 |
| 片側 | 25 +0.2 / 0 | 25 から 25.2 |
| ISO 等級 | φ10 H7 | ISO のはめあい |
周辺語は、公差・上限・下限・基準。個別の公差が書かれていない寸法は、表題欄の 普通公差 が効きます。この注記を飛ばさないこと。
数字に付いてくる加工指示
| 日本語 | 読み | 意味 |
|---|
| 面取り | mentori | 角を落とす(記号は C) |
| バリ取り | baritori | バリを除き、縁を整える |
| ザグリ | zaguri | 座ぐり |
| 皿 | sara | 皿もみ |
| キリ | kiri | 穴あけ(10キリ は φ10 の穴) |
配置の約束ごとと、その他の記号 — 見分けられれば十分
- 第三角法 は JIS の既定。上から見た図は 上、右から見た図は 右 に置きます。ヨーロッパの第一角法は逆なので、表題欄の円錐の記号をまず確かめます。
- 断面 は「A-A断面」とハッチング。詳細図は拡大図、尺度は縮尺(2:1)。
- 表面粗さ は「Ra 3.2」「Ra 1.6」。Ra が小さいほど滑らかで、その分コストが上がります。関連語は仕上げ、研磨。
- 幾何公差 は枠付きの記号とデータム A/B/C。寸法の公差ではなく形状の公差だと分かれば十分です。
- 溶接記号 は、溶接・すみ肉溶接・全周溶接(旗の根元の丸)。
実際の一行を読む
「φ10 H7、深さ15、C0.5、バリ取り」は、⌀10mm・H7 の穴を深さ15mm、入口に 0.5mm の面取り、バリ取りまで、という意味です。短い一行に、形状と精度と仕上げが同時に入っています。
よくある間違い
| 間違い | 結果 |
|---|
| C(平らな面取り)と R(丸み)を取り違える | 形状が別物になり、部品が不良になる |
| 単位を自分で換算する | 既定はミリ。センチやインチの当て推量は誤り。疑えば確認する |
| 表題欄の普通公差を無視する | 公差の書かれていない寸法も、普通公差の中に入る必要がある |
| かっこ書き(参考)の数字で合否を判定する | あれは参考値であって検査値ではない |
| 加工指示を読み飛ばす | バリ取り・面取り・ザグリ は作り方そのものを変える |
読んだら動く — 自己チェック
図面は何を要求しているか。
- R3
- C2
- (48)
- t1.6
- φ8 キリ
<details><summary>答え</summary>
- 半径3mm の丸み。
- 45°の面取り、平らな面が2mm。丸めるのではない。
- 参考寸法48mm。合否の判定には使わない。
- 板厚1.6mm。
- φ8 の貫通穴をあける。
</details>
要点
- φ は直径、R は丸み、C は平らな面取り、t は板厚。C と R の取り違えは不良に直結します。
- ミリは既定で書かれない。かっこの数字は参考。
- 個別の公差がなければ、表題欄の 普通公差 が効く。
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次回以降: 現場漢字100字・品質(公差と検査)の語彙・ISO はめあい H7(機械設計の連載)。
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