技術日本語 #09 — 生産技術の日本語:中核語彙と部署のつながり
日系工場の組織図には 設計・生産技術・製造・品質・保全 が並びます。どの部署が何を持ち、誰に話せばよいのか。生産技術 はいちばん曖昧に理解されがちですが、実際には図面とラインから出てくる製品をつなぐ 橋 です。この回では、部署の役割と、そこに正しく話しかけるための語彙を扱います。ベトナム人技術者に組織を説明するときの土台にもなります。
生産技術は何をする部署か
設計 が 何をつくるか に答えるとすれば、生産技術 は どうすれば同じ品質で、必要な速さで、繰り返しつくれるか に答えます。工程を設計する部署です。設備を選び、治具を設計し、工程を並べ、生産性を計算し、作業を標準化し、改善する。設計から図面を受け取り、製造が回せる工程に変える。位置は常に真ん中です。

生産技術の中核語彙
| 日本語 | 読み | ベトナム語 |
|---|
| 生産技術 | せいさんぎじゅつ seisan gijutsu | Kỹ thuật sản xuất |
| 工程 | こうてい kōtei | Công đoạn |
| 工程表 | こうていひょう kōteihyō | Bảng quy trình |
| タクトタイム | takuto taimu | Nhịp sản xuất |
| 段取り | だんどり dandori | Chuẩn bị / đổi hàng |
| 治具 | じぐ jigu | Đồ gá |
| 生産性 | せいさんせい seisansei | Năng suất |
| 稼働率 | かどうりつ kadōritsu | Hiệu suất thiết bị |
| 改善 | かいぜん kaizen | Cải tiến |
| 標準作業 | hyōjun sagyō | Thao tác chuẩn |
| レイアウト | reiauto | Bố trí mặt bằng |
どの部署に何を聞くか
| 部署 | 持っているもの |
|---|
| 設計 | 設計意図、元の公差、構造の変更 |
| 生産技術 | 工程、治具、生産性、レイアウト |
| 製造 | 実際の流れ方、具体的な作業 |
| 品質 | 合否の基準、不良の処置 |
| 保全 | 設備の状態、故障、予防保全 |
| 購買 | 材料と部品の調達先、納期 |
七つのムダ — 改善の言葉
| ムダ | 例 |
|---|
| 作りすぎのムダ | 必要より多くつくる |
| 手待ちのムダ | 人と機械が互いを待つ |
| 運搬のムダ | 必要以上に物を動かす |
| 加工のムダ | 要求より細かくつくり込む |
| 在庫のムダ | 仕掛品が滞留する |
| 動作のムダ | 手を伸ばす、かがむ、歩く |
| 不良をつくるムダ | 手直しと廃却 |
改善の場で「これは運搬のムダですね」と言えれば、議論についていけています。
標準作業の三要素
タクトタイム(目標の速さ)、作業順序、標準手持ち(ラインが流れ続けるのに必要な最小の仕掛品)。三つとも 標準作業票 に書いて、作業場所に掲示します。
生産技術と製造のやり取り
- 製造:この工程、タクトオーバーしています。
- 生産技術:原因は段取りですか、動作のムダですか。
- 製造:動作のムダだと思います。部品が遠いです。
- 生産技術:では、レイアウトを改善しましょう。
この四行に方法がすべて入っています。数字で見つけ(タクト)、七つのムダで原因をたどり(動作)、手を打つ(レイアウトの改善)。
よくある間違い
| 間違い | なぜ困るか |
|---|
| 生産技術 と 製造 を混同する | 製造は生産そのもの、生産技術はその工程を設計する側。相手を間違えると答えが出てこない |
| 改善 を標語として扱う | 改善は測る仕事。数字のない改善は説得力を持たない |
| タクトタイム を見ない | タクトを知らなければ、なぜその工程が「遅い」と呼ばれるのか理解できない |
| 段取り を「準備」と訳して終える | 実際は段取り替えの時間という狭い意味で、縮めるべき数字を指す |
聞いたら動く — 自己チェック
- 設計意図と元の公差を聞きたい。
- 稼働率が下がっています と言われた。
- 段取り替えの時間を短くしたい。
- 改善の場で 動作のムダ を指摘された。
<details><summary>答え</summary>
- 生産技術ではなく設計へ。
- 設備の稼働が落ちている。故障か、材料待ちか、段取りが長いのか、原因をたどる。
- 段取り時間の短縮として、生産技術と話す。
- 手を伸ばす・かがむ・歩くといった動きのこと。多くはレイアウトの見直しで減る。
</details>
要点
- 生産技術 は工程を設計し、設計と製造の間に立ちます。
- 中核は、工程・工程表・タクト・段取り・治具・改善。
- 改善には数字が要る。 七つのムダは、どこを直すかを指す共通語です。
工程や治具の設計、あるいは日本語の工程表・仕様書を読んで加工に落とすところまで必要ですか。 MINATA は 日本語図面と技術文書の読解、治具の設計、工程の標準化と加工 をお引き受けします。技術サービスとこれまでの実績をご覧ください。
次回以降: 品質・設備・保全、そして生産技術の連載。
MINATAの技術記事をすべて見る