技術日本語 #12 — 保全の日本語:予防保全・故障・部品交換・点検
日本のものづくりでは、設備を壊れるまで使いません。設備を良い状態に保つために 保全 という部署があり、その言葉は 予防 の思想で満ちています。この回は保全の中核語彙を集め、予防保全 と 事後保全 を分けて説明します。言葉の違いではなく、考え方の違いです。ベトナム人スタッフに保全を教えるときも、ここから始めると通じます。
三つの保全
| 日本語 | 内容 | 進め方 |
|---|
| 予防保全 | 予防 | 壊れる前に、計画に沿って点検・交換する。中心はここ |
| 事後保全 | 事後 | 壊れたあとに直す。受け身であり、減らしたい |
| 予知保全 | 予知 | 振動・温度・電流などのデータで故障を先読みする |
TPM(全員参加の保全) は、運転する人も加わる保全です。日常点検、清掃、給油までを担当します。

保全の中核語彙
| 日本語 | 読み | ベトナム語 |
|---|
| 保全 | ほぜん hozen | Bảo trì |
| 予防保全 | yobō hozen | Bảo trì phòng ngừa |
| 故障 | こしょう koshō | Hỏng hóc |
| 異常 | いじょう ijō | Bất thường |
| 点検 | てんけん tenken | Kiểm tra định kỳ |
| 日常点検 | nichijō tenken | Kiểm tra hằng ngày |
| 部品交換 | buhin kōkan | Thay linh kiện |
| 予備品 | yobihin | Linh kiện dự phòng |
| 給油 | きゅうゆ kyūyu | Tra dầu |
| 修理 | しゅうり shūri | Sửa chữa |
| 原因 | げんいん gen'in | Nguyên nhân |
| 対策 | たいさく taisaku | Biện pháp |
| 再発 | さいはつ saihatsu | Tái phát |
| 設備台帳 | setsubi daichō | Hồ sơ máy |
日本式の不具合の流れ
異常(様子がおかしい)から 故障(故障と確認)へ、そして 原因、対策、再発防止。最後の一つが日本の保全の芯です。直すだけでなく、二度と起こさないところまでを含みます。
報告は「機械が壊れました」では足りません。使える型は 現象・時刻・影響 です。「10時に3号コンベヤが急停止、モーターが回りません。故障と思われます。Aラインが止まっています。」
なぜなぜ分析 — 根本原因まで五回
- 機械が止まった。ヒューズが切れた。
- なぜか。モーターが過負荷になった。
- なぜか。潤滑不足でベアリングが焼き付いた。
- なぜか。給油ポンプが壊れていた。
- なぜか。給油ポンプが点検項目に入っていなかった。
根本原因は「ヒューズが切れた」ではなく「給油ポンプが点検表にない」ことです。したがって正しい対策は、ヒューズの交換ではなく、給油ポンプを予防保全の計画に入れること。これが本当の再発防止です。
保全計画を読む — TBM と CBM
- TBM(時間基準保全) は時間で決めます。状態にかかわらず半年ごとに油を替える。計画は立てやすい。
- CBM(状態基準保全) は状態で決めます。振動・温度・摩耗の実測に基づく。無駄は少ないが、センサーが要ります。
計画表の周期は、毎日・毎週・毎月・年次。
保全計画の項目
| 日本語 | 読み | ベトナム語 |
|---|
| 保全計画 | hozen keikaku | Kế hoạch bảo trì |
| 点検項目 | tenken kōmoku | Hạng mục kiểm |
| 周期 | shūki | Chu kỳ |
| 担当 | tantō | Người phụ trách |
| 完了 | kanryō | Đã hoàn thành |
| 未対応 | mitaiō | Chờ xử lý |
チェックシート の記入は、良ければ ○ か 良、異常があれば × か 異常 と書いてすぐ報告。正直に書くことが、予防の仕組みの最初の一環です。
現場で使う文
- 機械が故障しました。
- 異常な音がします。
- 部品を交換してください。
- 原因は何ですか。対策はありますか。
- 日常点検を記録してください。
よくある間違い
| 間違い | なぜ困るか |
|---|
| 異常(兆候)と 故障(実際の故障)を混同する | 早すぎる故障報告は無用な停止を招き、異常の見逃しは被害を大きくする |
| 原因をたどらずに直す | また起きる。日本の現場は再発防止まで求める |
| まだ動くからと 日常点検 を飛ばす | 予防のいちばんの利点を捨てることになる |
| 設備台帳 を書かない | 毎回ゼロから調べ直すことになり、傾向が見えない |
聞いたら動く — 自己チェック
- 運転中の機械から異常な音がする。
- 修理が終わり、職長に 対策は と聞かれた。
- 今日の点検表で温度が異常に高い。
- 同じ故障が三回目になった。
<details><summary>答え</summary>
- 故障と断定せず異常として直ちに報告し、現象と時刻を記録する。
- 「直りました」ではなく、再発防止の手立てを述べる。
- チェックシートに × か 異常 と記入し、報告する。見送らない。
- なぜなぜで根本原因まで下り、予防保全の計画を変える。
</details>
要点
- 三つの保全:中心は予防保全、減らすのが事後保全、データで先読みが予知保全。
- 流れ:異常、故障、原因、対策、再発防止。目的は最後の一つ。
- 異常は故障ではない。 なぜなぜで根まで。日常点検は正直に。
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次回以降: 設備・安全(危険予知、ヒヤリハット、5S)・現場の動作を表す動詞。
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